携帯通信会社への給与振込み:銀行消滅はもはや秒読み

画像: photo AC: codino さん

2018.06.24

経営・マネジメント

携帯通信会社への給与振込み:銀行消滅はもはや秒読み

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/一般庶民への給与振込みで集めたカネをまた企業に貸し戻す、という前世紀的な銀行のイージーなビジネスモデルは、二度と元には戻らないだろう。それどころか、地方の人口減と過疎化で、不動産担保の時価が実際は激減しており、その評価相当にまで急いで規模を縮小しなければ、社会的な信用不安と経済混乱のひきがね。あとはもう時間の問題。/

昨今、たいていのことがスマホでできる。スーパーやコンビニ、ネット通販での買い物はもちろん、飛行機から電車、バス、さらには自販機まで。いまは個別のアプリを入れて、自分でチャージだのなんだのして、銀行口座から決済。でも、それなら、勤務先から給与を丸ごと全額、直接に、スマホにチャージしてもらってしまった方がかんたんじゃない?

銀行は、本来、金融仲介、信用創造、貸借決済の三つの機能を持つ。しかし、これはおもに業者間の話であって、一般庶民とは関係がない。いや、一般庶民は、ただ、もっぱら信用創造の具として利用されてきた。会社が給与を振り込むことで、銀行は、その振り込まれたカネを、そのまま会社に貸し出し、社会の経済規模拡大を支援してきた。

ところが、巨大資本を必要とする重厚長大産業の時代が終わり、定期的に確実に資金回収できる貸出先が激減。リスクのある先端産業は、フィンテックと呼ばれるような直接金融が主軸。このため、潰れそうな中小企業へのドブ板貸出しどころか、一般庶民の短期の生活つなぎ融資、つまり、サラ金業くらいしか運用先が無くなった。これでは、庶民のカネを庶民に平準化しているだけで、信用創造もへったくれも無い。

貸借決済も、経常的な業者間の掛売り掛買いはともかく、銀行が関わる、建設などのプロジェクトの運転上の手形割引は減って、いまや庶民のクレジットカード決済が中心。実情からすれば、その大半は口座残高からの即時引落としでいいのに、わざわざ月末締めにして、金利相当の手数料を店舗の側から刎ねている。

それでももう首が回らなくなり、金利が付かないどころか、こんどは庶民から直接に利用手数料を取ると言う。それは、銀行が庶民から給与をピンハネするということ。これは、社会的にも信用創造の自殺行為。経済はいよいよ収縮してしまう。それ以前に、庶民が給与を銀行振込みにするのは損とばかりに、銀行以外の直接受取を希望するようになるだろう。

金融仲介、信用創造、貸借決済、この三つの機能の根本は、じつは通信だ。十字軍の昔から、銀行間でのみ確実な通信が可能であり、だからこそ「為替」(数字上の資金移動)が実現してきた。逆に言うと、ブロックチェーン技術などによって確実な通信が可能であるなら、そこに「為替」が成り立ちえ、銀行の金融の独占性そのものが技術的には根本から崩れる。あとは、法律的に、不当に独占性が守られている、というだけ。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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