観光振興は主婦売春と同じ

画像: photo AC: ゲタゲタ さん

2018.05.02

営業・マーケティング

観光振興は主婦売春と同じ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

バブルからちょうど三十年。その崩壊から四半世紀。あの後、「観光地」がどうなったか、もう忘れたのか? 風土や景観は、地元の人々が長年かけて築き上げてきた共有財産。にもかかわらず、行政や観光業者が、それを私的に売っ払うのは、他人の妻や娘に売春させ、目先のカネをせしめて喜ぶヒモ男と同じ。

オリンピックを控え、昨今、日本中が観光振興の狂乱状態。とにかく、外貨獲得。インバウンドだ、ツーリスムだ、世界遺産だ、と、行政から民間まで、大騒ぎ。バブルからちょうど三十年。その崩壊から四半世紀。あの後、「観光地」がどうなったか、もう忘れたのか?

ようするに、マーチャンタイズ、マネタイズ、だ。地元のなんでもないものでも、なんでも商品にして、カネにしよう、ということ。どうでもいい岩でも、どうでもいい階段でも、ノラ猫でも、ノラ山、ノラ海でも、インスタ映えする、とか、あのアニメの舞台はここだ、とか、うまく世間を情報操作し、外から客が集められさえすれば、その客に群がってカネをむしり取れる。

で、それがどうなるか、よく考えてみろ。最近の京都や鎌倉の、ひどいこと、ひどいこと。裏路地のドシロウトの家まで、玄関先を改造して、観光客相手の商売。そんなん、ほんにみっとものぉあらしまへんかえぇ、なんて言っていた人も、翌日には突然、店を始め、昨日までブランド服をちゃらちゃら見せびらかしていたのに、取って付けたような、妙ちくりんな揃いの作務衣に半被なんか着て、家族総出で朝から大声で客引き。裏には不釣り合いな、ド派手な外車が並ぶ。まるで『木村家の人びと』に出てくる隣の雨宮家のよう。落ち着いた、静かな古都の風情なんか、もうどこにもありゃしない。

マッチ棒の山は、一本や二本、抜いても、大丈夫だが、みんなが一斉に引き抜いて奪い合えば、すぐに崩れ、元も子も無くなる。観光産業なんていうのは、でかい顔をしているが、しょせんは、もともと他人のフンドシで相撲を取っているようなもの。地元の人が日常で大切にしてきた生活の風土、努力して守ってきた地域の景観をネタに、客集めして、カネを儲けている。郷土愛を名目に、みんなを無償でボランティアに駆り出し、自分だけはエグく商売三昧。だが、全員がそんな観光業者になったら、ウリになる風土も景観もあったものじゃなかろう。

行政とつるんだ悪徳観光業者は、たしかに儲かる。だが、一般住民からすれば、年柄年中どこもかしこも法外な交通渋滞で、近所に買い物に行くバスさえ、まったく使いものにならなくなる。食料品や日用品の物価も、ケタはずれに高騰する。わけのわからないヨソ者だらけで、旅の恥はかき捨て、とばかりに、そこら中にゴミを投げ捨て、どこでも踏み込んで土地を荒らし、夜はもちろん昼でも一気に治安が悪化する。だれに文句を言っていいのかもわからず、みんなとりあえずは黙っているが、あるとき我慢の限界をを超え、一斉に売り逃げる。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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