サービス向上の5つのポイント(3) 【連載サービスサイエンス:第20回】

画像: Robert Montgomery

2016.06.28

営業・マーケティング

サービス向上の5つのポイント(3) 【連載サービスサイエンス:第20回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービスや顧客満足の向上が絵に描いた餅になっている企業が案外多いものです。しかし最近では、サービス競争が激化し、本当の意味でサービスの価値や顧客満足を高めなければ生き残れない時代になりました。そこで今回は、お客様から高い評価を得ている企業が押さえている5つの取り組みに触れたいと思います。

今回はお客様からサービスで高い評価を得ている企業が押さえている5つの取り組みを取り上げています。今回はその3回目として、より具体的にサービスやCSを高めるための取り組みに触れてみたいと思います。


(3)サービスプロセスをモデル化して継続的にブラッシュアップする

サービスはお客様と一緒に作るものだという大きな特徴があります。つまり、お客様の事前期待を掴んだり、事業としてのサービスシナリオを描いたとしても、サービスの現場でお客様の事前期待に応えるようなアクションができなければ、結局はサービスへの評価は高めることはできません。そこで、サービスプロセスをモデル化することで、どのプロセスでどういう努力をすると価値があるのかを明らかにします。

実はサービスの現場には、経験やセンスで磨かれた知恵や工夫が溢れています。その価値ある知恵や工夫は、普段は各自の頭の中にしまわれていて、組織的に活用できていることはほとんどありません。これではまさに宝の持ち腐れです。そこで、サービスプロセスをモデル化することで、こういった現場の知恵や工夫を、組織の力に変えることができるのです。サービスプロセスをモデル化する取り組みを通して、優秀なスタッフが普段からどんなアンテナでお客様の事前期待を掴み、その事前期待に応えるためにどんな工夫をしているのかの暗黙知を形式知化します。暗黙知を、プロセスモデルという形に仕立てることができると、組織のサービスレベルを格段に高めることができるのです。このようにサービスプロセスをモデル化することで、現場任せや個人任せなサービス向上やCS向上の取り組みから脱却し、組織一丸となった取り組みを進めていくことが極めて重要です。

このサービスプロセスのモデル化は、サービスプロセスを「顧客プロセス」と「提供プロセス」とを対にして定義したうえで、プロセスごとに「お客様の事前期待」と「発揮すべきサービス品質」とを明確にしながら進めていきます。具体的な方法については、以前の記事【連載サービスサイエンス:第16~17回】 「サービスの現場の経験知を組織の力に変える」をご覧ください。

なお、このサービスプロセスモデルは、一度描いたらそれでおしまいではありません。サービスプロセスモデルを実践することで得られた価値ある気付きや課題をもって、継続的にブラッシュアップしていくことが大切です。そうすることで、実践が進むほどにサービスプロセスモデルが効果的なものに磨き上げられ、時間と共に成果が積みあがっていくのです。そのためにサービスプロセスモデルは、キレイな資料を作っておしまいにするのではなく、出来栄えはそこそこでも現場が見て納得感のあるものに仕立てることが極めて重要です。現場の納得感を醸成するためにも、サービスプロセスをモデル化する議論の過程も大切にして頂ければと思います。

ここまでくると、事業としての価値あるサービス設計を進めることができます。サービスでお客様に喜んでいただき、お客様に選ばれ続けるためには、何を目標にして、具体的に何に取り組んだら良いのかが明らかになります。そこで次回は、それを体現するために重要な取り組みについても触れてみたいと思います。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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