「見た目」がすべてか?

2008.02.07

ライフ・ソーシャル

「見た目」がすべてか?

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

大減量に成功した岡田斗司夫氏。 社会評論の本を出していた岡田氏自身は、自分は 「社会評論家」 と見られていると思っていました。

ところが、現実には

「デブキャラ」

とみなされ、知的なイメージが無かったとのこと。

まあ、サンドウィッチマンの伊達さんのような

「小太り」

程度であればそんなことはなかったと思います。

しかし、相撲取り級の120キロに迫る体格となれば、
岡田氏が、単なる「デブ」としか受け取られなかったのも
むべなるかなです。

ところが、67キロにまで体重を減らした今、
掲載される写真やスペースが大きくなったそうです。

なるほど!
しかし、これは見た目が改善されたからというよりも、
ダイエット成功による

「体型の変化」

で注目を集めているからだと思います。

岡田氏は、

“見た目が悪いと、いい仕事をしても評価されない。
 私たちはいつの間にか、外見で中身や仕事の実績まで
 評価されているのです。”

と言い切っています。
(日経新聞夕刊、2008/01/30)

なるほどね!
しかし、自分が痩せたからといって、
岡田氏もちょっと言い過ぎではないでしょうか。

さて、確かに私たちは、
まずは対象(人に限らず食べ物なども)の見た目で、

・危険はあるか・ないか(近づいても大丈夫か)
・好きか・嫌いか(付き合いたいか)

を判断しますよね。

ただしこの判断はあくまで「直感」による

「仮評価」

に過ぎず100%正しいとは限りません。

ですから、少なくとも危険はなさそうだと判断できたら、
実際に近づいてみて、例えば食べ物であれば、

においをかいだり、
手で感触を確かめたり、
ちょっとかじってみて、

見た目じゃなくて「本質」(中身)は
実際どうかを確かめるわけです。

ところが、近年は本質を確かめる以前の
「仮評価」の段階で思考を停止してしまい、

あの人はだめ、この食べ物はだめ

とさっさと最終評価にしてしまう傾向が
高まっているようです。

この背景にはやはり、

情報過多で複雑になりすぎた社会

があるのではないかと思います。

ひとつひとつ、外見だけじゃなくて、
本質まで確かめようとしたらとても時間が足りないですから。

岡田氏は、「見た目主義」の是非を問うようりも、
どんな行動をすれば効率的かを考えて行動すべきと
考えています。

見た目が良いほうがメリットが大きい社会であるなら、
太っている人は痩せたほうがいい、というシンプルな理屈です。

ただ、これもあくまで本質(中身)が伴っての話でしょう。

ぱっと見がよいと確かに最初はみな飛びつく。
でも、本質がたいしたことなければすぐに離れて
いってしまいますからね。

最近、「きゅうり」の人気が落ちているそうです。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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