奨学金は瀕死の大学と地方の延命策:学生はカモネギ奴隷?

画像: photo AC: ジルバーナーさん

2017.01.09

組織・人材

奨学金は瀕死の大学と地方の延命策:学生はカモネギ奴隷?

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/給付型奨学金は、少子化で瀕死の大学、瀕死の地方にカネをばらまいて延命するのが主目的。だが、結局、人を育てるのは人。格差対策、教育投資、地方活性化を本気で考えるなら、現金バラ撒きなどではない、ほんとうの意味での「奨学」ということを、大学も地方も考えていくべきではないのだろうか。/

 給付型奨学金、というと、いかにも格差対策、教育投資のように聞こえる。だが、ほんとうは、少子化で瀕死の大学、瀕死の地方にカネをばらまいて延命するのが主目的。


 奨学金は、学生に出しているように見えるが、実際は学費に直行する。つまり、大学に補助金を出しているのと同じ。日本私立学校振興・共催事業団の『私立大学・短期大学等入学志願動向』(2016年5月1日現在のデータ)によれば、私学の定員割れが257/577校、つまり、44.5%。


 もう少し細かくみると、入学定員区分で一学年800人未満の中小規模大学の定員充足率は94.3%、800人以上(総学生数3200人以上)の大規模大学は108.4%と、明確な規模格差ができてしまっている。(総学生数は、ほんとうは入学定員x4のほかに編入や留年などを含む。)そもそも志願倍率からして、800人未満が3.55倍、800人以上は9.42倍。これだって、推薦入試その他で相当にいじくって、この数字。実質的には、総学生数3000人程度に足らない大学は、かなりムリをして学生を掻き集めている。(もちろんなんでも合算相殺してしまう統計上の話なので、小規模円満経営のところも無いでは無いはずだが。)


 地域別だと、志願倍率では、京都10.34倍、大阪9.97倍、東京9.85倍の三府都が突出していて、これに愛知、千葉、兵庫、福岡が6倍以上で続いている。逆に、東北(宮城を除く)、甲信越、九州(福岡を除く)、四国は、2倍台で、極端に人気が無い。がさつな分析ながら、地方小規模大学は、かなり厳しい状況にあることが想像される。また、地域や規模はともかく、2年連続で定員充足し向上しているところが48校、逆に2年連続定員未充足で、さらに悪化しているところが68校。大学の人気格差は開いていっており、いずれこれらから潰れるところが出ることは避けられまい。


 もはや勝敗はついているのだから、淘汰が当然だ、と思うかもしれないが、そう簡単でもない。総務省統計局の推計人口だと、2014年/2005年で、東北(宮城を除く)-7.79%、甲信越-4.5%、九州(福岡を除く)-2.86%、四国-5.09%。2014年の年齢別で、15歳~24歳は、全国平均だと人口の9.60%はいるはずであるのに対し、東北(宮城を除く)8.84%、甲信越9.14%、九州(福岡を除く)9.40%、四国8.74%しかいない。つまり、これらの地方は、人口が減っているだけでなく、若年層の率も全国平均より少ない。だから、大学の状況が厳しいのだ、とも言えるが、大学でかろうじて地方の若年人口を支えている、とも言える。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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