コンセプチュアル思考〈第18回〉 類推~ロールモデルを探せ

画像: 画像: Career Portrait Consulting

2016.12.27

組織・人材

コンセプチュアル思考〈第18回〉 類推~ロールモデルを探せ

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ

例えば「ロールモデル探し」の演習において、企業研修などで受講者の答えを観察してみると、厚みのある思考ができる人と、厚みのない思考に留まる人が出てきます。それをイメージ的に表わしたのが、上図右のような思考プロセス①と②の厚みの差です。思考①は、form→essence→form(外から内へ。そして内から外へ)という大きな抽象と具体の往復をしています。ところが思考②は、essenceがひそむ内奥にまで抽象化が進まず、form→form(外から外へ)という具体の次元のみに留まる縮こまった思考運動になっています。

日本の伝統芸能・武術の世界で「守・破・離(しゅ・は・り)」ということがよく言われます。「守」は師匠から型を教わり、それを徹底的に身に覚え込ませるフェーズ。「破」はその型を破って自分なりの型を創造していくフェーズ。そして「離」はいっさいのことを超越し、自在の境地に至るフェーズ。弟子がその道を会得していく段階を3つに分けて言い表したものです。

「守」の段階でもっとも大事なことは、型の表面的な模倣だけに終わらないことです。型の奥にある本質を修めることをしないかぎり、次の段階の「離」は訪れません。型破りなことをやったとしても、おそらく薄っぺらな試みに終わってしまうでしょう。型というformをとことん突き詰めて、essenceの次元に上がっていき、本質的なこと、根源的なことをつかんで、再びformの次元に下り、目に見えるものに表現する。これを絶え間なく繰り返すところに、「守」から「破」へ、そして「離」へという道を究めるプロセスがあります(下図)。





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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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