安いものにはワケがある。規制緩和のツケ

2016.01.19

組織・人材

安いものにはワケがある。規制緩和のツケ

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

かつて2008年、「汚染米「ズルしていただき」に、ハムラビ法典を。」というコラムを書きましたが、今度のバス事故で、あらためてその趣旨は9年も前のコラムと変わらず貫くべきだと思いました。それは「ズルしていただき」を絶対認めないことが規制緩和の前提であるということです。

破産や懲役刑を食らったくらいでは収まらない、大手グループなら本体にも影響するほどの巨額の賠償責任を負わせる。それが負えないような事業者は排除するといった、障壁は、こうしたズルを防ぐには有効だと考えます。

もちろんその結果サービス料金は上がるでしょう。確か国民の強い支持を受けているという安倍自民党政権はインフレを目指しているはず。であれば、規制強化によって値上げが起こることはインフレにもなるし、国民を守ることにもなるし、一挙両得ではないのでしょうか?


・元日営業自粛はフェアトレードである
今年の正月は大手流通業、デパートや量販店が元旦営業自粛を相次いで発表しました。正月は元日から営業が「普通」となって定着した風潮を変えたのです。正月営業自粛によって生活が立ち行かない人、生命の危機を感じた人は出たでしょうか。

便利で安価な生活は文明としてレベルの高さだと思います。しかし不必要な便利さや、その製品やサービスを生産する産地や製造者からの搾取ともいえるほどの激しいコスト圧迫の結果がこのバス事故だと感じます。安すぎるアパレル、コーヒー、食品・・・フェアではない製造調達プロセスが疑われます。

安すぎるサービスを国が放置している以上、われわれ消費者自身が身を守るしか今は手段がありません。消費者保護の行政は本来はこうした国民ができない質的チェックに向けられるべきと思います。それがない以上、「安いものにはワケがある」が今のところ唯一の防衛手段でしょう。

政府には、経済競争における強い自己責任の追求を求めます。不可抗力ではなく、利益のためのズルであれば二度と立ち上がれないほどの罰金や処罰を。われわれ消費者はフェアトレードを実現するため、分相応の負担、値上げを受ける必要があるでしょう。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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