インターンシップと就職の関係を語ろう

2015.11.05

組織・人材

インターンシップと就職の関係を語ろう

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

就活イベントで講演する機会がとみに増え、よく聞かれるのは「インターンシップに行くと就職に有利か?」ということです。しかしさまざまな就活情報サイトや本などで、ここに明言したものは見かけません。なぜでしょう。 「就職活動」は企業側から見れば「採用活動」という、事業の一環だからです。学生の感覚とは異なるビジネスの世界の感覚を理解することで、答に近づけるのです。

・インターンシップは何のため?
当然のことですが、就業体験というのがインターンシップそのものであり、目的でもあります。ですが実際にインターンシップをもって事前選考をしたり、そもそもインターンシップをしないとエントリーできない企業があるのも事実です。また大学によっては単位認定する「科目」としてインターンシップがある場合もあります。さらには3ヶ月程度~半年滞在し、プロジェクト的な一回りを果たす、主に理系博士学生向けの長期インターンシップもあれば、ワンデーインターンシップという、1日限りのものもあります。

要は何を持ってインターンシップかという定義が無いのです。「インターンシップである」といった者勝ちなのが、今の状況です。その結果、採用選考の一環として強くリンクしたもの(主に1ヶ月未満の短期)と、単位や研究と結び付く(主に1ヵ月以上の長期)本来のものがごっちゃになっていることが、学生を惑わせています。またそのインターンシップがどちらを目的としたものなのかも明確にしない企業姿勢がこの困惑に輪をかけます。インターンシップと呼ばれても、その中身はかなりの幅があるのです。

長期インターンシップでも、その後インターン先企業に就職する例は多く、特に文部科学省が主導した博士人材/ポスドクキャリア支援では多数の理系博士学生とポスドクが民間企業に就職しています。また経産省が援助して始まった中長期人材育成協議会でも、同様に長期インターンシップを支援しています。しかし採用と強くリンクした短期インターンシップで参加社全員を採用するのではないのと同様に、長期インターンシップをした参加者も、全員が入社した、採用されたとは言い切れない現実もあります。


・なぜ不明確なのか
その中身もいろいろ、就活目的もありつつ、保証ではない。そんな不明確な存在となっている理由に、企業イメージの問題があります。企業の本音でいえば、良い学生が来たら欲しい、採用したいのは当然です。インターンシップを通じて評価できる学生であれば、単に面接で選んだだけに比べ、より長い時間をかけて人物や能力を見ることができる分、判断にも信頼を持てます。

ちなみにこれは反作用もあり、面接だけならボロが出なかったかもしれない欠点が、長時間にわたって隠し通すことができなくなるからです。「インターンの結果、応募しても不採用」というのは当然あり得る結果です。どちらの結果になるかは、やるまでわかりません。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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