パクリンピックのエンブレム

画像: 2020オリンピック候補地東京エンブレム

2015.07.31

営業・マーケティング

パクリンピックのエンブレム

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/IOCが承認しようと、商標権上の問題がなかろうと、故意の盗作で無かろうと、類似の先行作品があった、ということは、クリエイティヴな独創性を売りにするプロのデザイナーとして、人様からカネが取れる仕事じゃない。初心に返って、2011年、まだ学生だった島峰藍が作った、あのすばらしい桜の花の招致リースロゴをオリンピック本番でも活用したらいいのに。/

 日本のロゴデザイナーは、狭い村社会の業界。一目見れば誰の作品かわかるから、審査する側も、される側も、匿名ジャッジができない。それで、なあなあ、ずぶずぶ。今回も、国内では擁護する専門家が少なくないが、それが世界に通用するかどうか。IOC(国際オリンピック委員会)が承認しようと、商標権上の問題がなかろうと、故意の盗作で無かろうと、類似の先行作品があった、ということは、クリエイティヴな独創性を売りにするプロのデザイナーとして、人様からカネが取れる仕事じゃない。まして、あれで国民の税金をいただくなど論外。お恥ずかしい、と言って、辞退するのが筋。まあ、そんな独創性の無い作品を選んでしまった御大連中のメンツもあるので、そうさせてもらえないのかもしれないが、選んだ連中も、最近の動向に勉強不足だったのではないか。


 専門外のシロウトが見ても、あのエンブレムはおかしい。Tはわかる。TOKYOのTだろう。だが、Lは何だ? いや、OLYMPICのOの残片なんだ、と言うのだろうが、あの右下隅の、意味の無い妙な銀色の残片を見苦しく感じない者がいるだろうか。昨今の技術水準の印刷媒体ならいいが、あんなピロピロの鋭角のある図象、どうやって縫い付けだので、安価に量産するのやら。オリンピックロゴがどのように使われるのか、イメージが無いのではないか。


 TEATRE de LIEGEが、TとLなのはわかる。そのうえ、劇場内の道具備品にステンシル(型抜き墨入れ)をすることを前提に、モノクロで、かつ、型の維持のために図形の接触を避けている。また、Rebuild JAPANも、右下角の部品が落ちた日本を持ち上げようとする力を感じさせる。後者は、おそらくJリーグのロゴを知っていて、それをベースにデザインしたのではないか。それがまた日本に戻っても、理解を示すのは当然。しかし、前者との関係については、フォントまで似ているとなると、むしろ疑う方が合理性がある。身内でいくら問題が無い、とかばい合っていても、なんの意味も無い。


 そもそも、今回のエンブレムは佐野研二郎(博報堂系)の作品ということになっているが、???と思う。というのも、このエンブレムは、彼の作風ではないからだ。もちろん、デザイナーなのだから、いろいろな作風もできるだろう。しかし、今回のように、原研哉や葛西薫など、第一線のデザイナーと競い合うコンペで、自分も指名された以上、普通であれば、自分の自信作、実績あるヒットロゴの線で戦うのが一般的だろう。なのに、なぜ彼らしからぬものを出してきて、Jリーグのロゴの亜流のような独創性のかけらもない、デザインとしても図象学的な理屈の通らないもので決定なのやら。

Ads by Google

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

フォロー フォローして純丘曜彰 教授博士の新着記事を受け取る

今日の編集部

今週もよろしくお願いします*\(^o^)/*

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。