MECEと構造化のススメ

2015.06.11

経営・マネジメント

MECEと構造化のススメ

野町 直弘
調達購買コンサルタント

ロジカルシンキングの中でもMECEと構造化は業務にとても役に立つというお話です。

研修でもよくこういう話をしますが、お客様(クライアント)のコスト削減をお手伝いするようなコンサルティングプロジェクトをスタートする際にクライアントからよく聞かれることがあります。
「コンサルティング会社に手伝ってもらうと、何かコスト削減の為のいいアイディアが
出てくるのですか」と。そのような場合には「そんな打ち出の小槌みたいなものはありません」とお答えします。この場合はコスト削減の手法やアイディアなのですが、一つけ心がけていることは、我々はこの様な手法を幅広く体系的に捉え、ヌケモレがないか、という見方をするのです。

これは非常に効果的な方法です。具体的には約60弱のコスト削減手法体系にまとめられるのですが、この体系を目の前にして今回の案件にあてはまるかどうか、という視点で検討を進めてきます。いわゆるチェックリスト法とも言われるブレインストーミング手法になります。

この思考法はコンサルタントがよくやる思考法です。ここで重要なのは、コスト削減手法がモレなくダブリなく体系化されているか、ということです。モレなくダブリなく全体像を把握できていないとアイディアを出せない恐れもあります。

このようなモレなくダブリなく全体像を把握することをMECE(ミーシー)と言い、ロジカルシンキングの一つの基本的な手法です。MECEとはMutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの頭文字を取ったもので、モレなくダブリなく、という意味になります。
たとえば、自社の顧客構成を考えた場合、顧客を「20代」「30代」と年齢別に分けていく、「男性」「女性」といった切り口で分類することで考えるなどで、重要な要素のヌケモレを防ぐことができ、より正しい答えに行き着く可能性が高まるということを目的とした思考法です。
MECEであるかどうかを考えることを特にコンサルタントは常に強いられます。多くのコンサルタントはクライアントよりも経験が浅い場合が多いので、数少ない経験を元にモレやダブリなく体系化し全体像を捉えることで、経験の浅さをカバーせざるを得ないからです。
MECEであるかどうかを考えることは必ずしも難しいことではありません。それではどのように進めていけばよいでしょうか。まずは考えられる選択肢をとにかく数多く出すことから始まります。そして次はそれを分類します。例えば先ほど例に上げたコスト削減手法ですが約60弱あると申し上げましたが、大きく分類すると「安くする」「安いところから買う」「安いモノを買う」「買わない」の4つに分けられます。
同様に調達人材に必要なスキルを上げていくと、どの企業もだいたい60~100位のスキルが上げられますが、これも分類すると「購買品目知識」「購買共通スキル」
「ファンダメンタルスキル」の3つにだいたい層別できます。
この分類するということで、この3つや4つのカテゴリで大きなヌケモレやダブリがないかを次にチェックします。そしてこの分類に大きなヌケモレダブリがなければ次は
中分類を考えます。そしてまた、中分類のヌケモレダブリがないかを検討します。
最後に中分類毎に最初に抽出した選択肢を分類し、ヌケモレがないかを再検討します。
これらの手順を何度か繰り返しながらMECEな体系を考えることができます。
ここでご説明した手順の通りMECEな体系づくりと全体像の把握はそんなに難しいことではないことが分かっていただけたでしょう。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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