韓国文化戦略の失敗に学ぶ

2015.04.20

経営・マネジメント

韓国文化戦略の失敗に学ぶ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/なぜあれほどの大規模な国家戦略として韓国は国際的文化輸出を図りながら、むしろ強烈な「嫌韓」を生み出してしまうという逆の結果を招いてしまったのか。それぞれの相手国のレスペクトを基底に、もっと楽しく、快く、美しくなる小さな改善提案として、日本文化というものを紹介していく、したたかで、しなやかで、しとやかな謙虚な自信を忘れずにいたいものだ。/

 あの国が国家戦略として、この十年来、強力な文化輸出を仕掛けてきたことは、その具体的なやり口まではわからないまでも、誰もが肌身に感じてきたことだろう。それにしても、あれだけのことをしながら、ここまで逆効果だったのは、我々、日本としても、反面教師として大いに学ぶところがあるのではないか。


 一般に韓流ブームは、2003年にNHKのBS2で『冬ソナ』が流されたのが端緒と理解され、その国家戦略としての支援は2009年の韓国大統領直属の国家ブランド委員会の設置によるとされている。しかし、マスコミの末席に関わらせていただいていた者としては、1990年代に入る頃からすでに劇的に親韓中堅の全学連世代や在日の若者たち、韓国からの留学研修生が新聞や雑誌、テレビなどの内部に喰い込み、大きな影響力を持ち始め、日韓交流を唱う企画をあちこちで立ち上げ始めたという印象を持っている。実際、NHKは、『冬ソナ』よりも先行して、2001年には、韓国俳優ソル・ギョングを迎え、古代の日韓問題を題材にした、ハングル語だらけの奇妙なスペシャルドラマ『聖徳太子』を作っている。2002年にはワールドカップの日韓共同開催もあった。


 この韓流ブームの背景に何があったのか、それが韓国側によるのか、日本側によるのか、政治的なものなのか、民間主導なのか、一般人の計り知れるところではない。しかし、たんなる自然発生と言うには、あまりにも関係する規模も予算も大きく、相応のなにかの配慮ないし圧力の下での動きだったのではないかと思わざるをえない。


 いや、国家的文化戦略そのものの是非は言うまい。それは、観光客やイベントの誘致など、どこの国でもやっていることだ。問題は、韓国があれだけの規模で仕掛けておきながら、これほどまでに逆効果になってしまった、つまり、無理な仕掛けのせいで、かえって強烈な「嫌韓」の感情を生み出してしまった、ということだ。その失敗の原因はどこにあったのだろうか。


 当初は、これを機会に隣の国のハングル語を習ってみよう、実際に韓国に観光に行ってみよう、もっと韓国の映画やドラマ、タレントに親しんでみたい、という人が大量に生じた。どこの大学でも、ハングル語は、従来の独仏伊中を追い抜き、人気の第二語学になった。折しもテレビの急激な多チャンネル化と長引く不景気、デジタル化の巨額投資負担の隙間に、韓流ドラマがダンピングとも思えるような安値で大量進出し、全局が韓流漬けの様相を呈し始める。しかし、実は、ドラマの本数、ハングル学習者数など、2005年~06年あたりがピークで、うまくこの水準を維持すれば、長期的にももっと親韓者を熟成できたのではないか。にもかかわらず、その後になお、過剰な追加投資を繰り返し、コアなファンの囲い込みと重層搾取で、さらにブームの経済的ボリュームを拡大しようとしたあたりから、おかしくなっていく。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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