“働き続けたい職場”の実現に知恵とカネを使え

画像: Greek Reporter

2015.03.30

組織・人材

“働き続けたい職場”の実現に知恵とカネを使え

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「うちの業界は3Kだから」と端から諦めているようなら、人材獲得競争での負け組は確実。思考停止せずに知恵を働かせ、要所にカネを使えるかどうかが分かれ目だ。

ここまで「3K職場」の典型業界を幾つか見てきた。いずれも大多数の企業は人手不足の深刻さにたじろいで、従来の延長線上の手段以外には頭が回っていないようだ。

でも、目先の人手確保のために人材紹介会社や外部業者へ余分なお金を支払っている「泥縄」的やり方の愚かさを、もっと噛みしめてしかるべきだ。そんなカネがあるのなら、社員に還元すべきなのだ。

知恵を使って人材確保に成功している事例が多々あるのだから、それらを研究すべきだ。「うちでは(経営者の頭が固いから)同じ策は難しいですね」と思考停止になる担当者が多いかも知れないが、真似をしろとは言っていない。自社でも可能な策を考え出せばよいのだ。

それら「成功組」だって、先例に倣ったわけではなく、ましてや最初からすぐに思いついたわけでもなく、試行錯誤の中から自分たちのやり方にたどり着いたのだから。

また、契約社員ではなく正社員として採用することの「威力」は絶大だ。多くの優秀な契約社員は安定的な正社員の機会が他所にあるなら移ることをためらわない。

今の経営者の多くはデフレ時代を長く経験してきたため、「賃上げ」および「正社員増」には条件反射的に警戒感が強いようだ。しかし今はすでに人手不足時代なのだ。頭を早急に切り替えないと人材獲得競争に敗北し、大変なことになりかねない。

でも一番大切なことは、今いる人材が辞めざるを得ない状況を作らないことだ。人材募集~面接~オリエンテーション~教育と、長い時間および多大な人手を掛けて手塩に掛けてきた人材に去られることほど、それまでの投資を無駄にして空しいことはない。

結婚・出産や異動を機にというだけでなく、社内の人間関係や仕事上の過度なストレスなど、社員が辞める原因は多岐にわたる。「去る者は追わず」と高姿勢を続けるのではなく、内部のどこに原因があるのか、改善の余地はないのかと常に考えることで「働き続けたい職場」は実現するものだ。

大量採用と大量離職を繰り返す職場に未来はない。日本社会にとっても壮大な無駄でしかなく、「社会の敵」視されるほかない。

逆に、「働き続けたい職場」を実現すれば、それは人材採用の場でも確実に魅力的な要素になる。「泥縄」的で本質的でない無駄なコストを削る代わりに、効果的な「生き金」を使うことで「働き続けたい職場」は実現できる。

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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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