挑発は「表現の自由」か?

2015.01.14

経営・マネジメント

挑発は「表現の自由」か?

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/いまのフランスは、ユダヤ系・ネイティヴ系・クレオール系の三層構造で、EU不況が加わり、解決の難しい問題を抱えている。その背景を知らずに、一方のメディア戦略に乗せられると、日本まで無用の敵意を受けることになる。/

毎日、毎日、貧乏なイジメられっ子を執拗にからかっていたら、ある日、窮鼠猫を噛む、で、そいつがいきなり反撃してきて、逆にフルボッコにされ、それで、ボクはボーリョクには屈しないぞぉ、って、そりゃ暴力はいけないし、死んだ人には哀悼の念は抱くけど、そんなマンガを地で行くようなのって、やっぱり、あまりにバカじゃないの。おまけに、そーだ、そーだ、団結だ、連帯だ、って、なにか怪しくないか。最初から、誰か全体の絵図画いた悪いやつがいるんじゃないか、と勘ぐりたくなる。

モンマルトルの丘の東、パリ18区と19区。あまり観光では行かないだろう。というより、行かない方がいい。いま、フランスは、どうにもならない問題を抱えている。ニュースで「移民」などと言っていたが、「クレオール」は、れっきとしたフランス人だ。かつてフランスは、中南米やアフリカに広大な植民地を持っていた。しかし、戦後のフランスの国力低下で、これらが独立した結果、クレオール、つまり、植民地生まれのフランス人(白人、アフリカ人、中南米人、その混血などなど)が大量にフランス本国に引き揚げてくることになった。くわえて、本国では、スペインやオランダから移り住んだユダヤ系(セファルディム)が戦前から強力な支配人脈を作っており、これにナチスドイツ崩壊後のドイツや東欧のユダヤ系(アシュケナージュ)が加わった。

雑に言えば、いまのフランスは、ユダヤ系、ネイティヴ系、クレオール系の三層構造の社会になっている。しかし、EU統合で既得権者が強大な富を得る一方、ドイツ製品の流入で、クレオール系はもちろんネイティヴ系まで、若者を中心に未曾有の失業不況にあえいでおり、その敵意は、パリ市西部の高級住宅街16区パッシー、中央のユダヤ系街4区マレに向かっている。さて、この情況で、クレオール系を挑発し、ネイティヴ系と分断して、「国際社会」に団結を呼びかけているのは、いったい誰だ?

ドイツやイタリア、オーストリアでも、情況は似たようなもの。南イタリア(旧ナポリ・シチリア王国)や旧東ドイツ、ウィーンなどには中国系やトルコ系、東欧系が大量流入しており、ネオナチやマフィアが、一般市民にまで、ひそかな支持を得てしまっていて、政権中枢まで入り込むほどの勢いだ。

かつてパリ市では、地下レジスタンスの連中が武装し、ナチス(多くのフランス人ファシストを含む)の支配を打破すべく、文字通りの「テロ」を繰り返した。昨年夏からイラクやシリアでは、「テロ国家」のイスラム国を空爆し、事実上の焦土化で、その拡大を食い止めている。かつて「特攻」というテロをやった大日本帝国に対する東京や大阪の大空襲、広島や長崎の原爆もまた、本土の一般国民が震え上がる「テロ」でしかなかった。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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