身の程知らずの就活はムダ

2015.01.06

組織・人材

身の程知らずの就活はムダ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/有名企業は、12大学のターゲット、+10校の採用審査対象がある。よほどのウリもないのに、これら22校以外の学生が、有名企業をいくら受けても、すべて「お祈り」されてしまうだろう。/

人物重視、などという建前を真に受け、ムダに努力ばかりして、結局、どこも内定を得られず、最後には自殺してしまう学生の話を聞くと、冷たいようだが、もともと「常識と適性に欠ける」という、企業側の判断が正しかったように思わざるをえない。

ものすごく概算的に言えば、就活をする大卒予定者は、およそ50万人。一方、有名企業は、およそ2千社。その採用人数の総計は、10万人。ということは、5人に1人、打率2割なら、5社も受ければ楽勝だな、などという、まともに確率計算もできないユトリたちまでが、ここに殺到する。

現実は、甘くない。一般に、東大京大ほか旧7帝大と東工・筑波・一橋、早慶までの12大学のみが、企業側が採りたいターゲット校だ。これらの大学の卒業生が優秀だから、というより、これらの大学の卒業生を実績として採っておかないと、次年度以降の採用計画で広く優秀な人材が集まらなくなり、人事部として責任を問われることになる。だから、採る。つまり、これらの卒業生が集まることが、有名企業としての組織的ステータスの源泉になっている。

就活は、企業側の慈善事業じゃない。時間と費用と手間のコストがかかる以上、現実に採用の可能性のある学生の精査のみにこそ、資源を集中したい。だから、上記12大学に、GMARCH・関関同立を加えた22大学までが、2千社にとっての採用審査対象。それ以外の採用は、まったくの例外。よほどウリがなければ、エントリーシートの段階で早々に「お祈り」する。

12大学+10校だって、甘くはない。企画がやりたい、だの、商品開発が、企業戦略が、などというバカは、早めに排除。大企業である以上、経理や人事、製造、営業、管財まで、学生ごときが想像もつかないような多種多様な部署を抱え込んでおり、国内転勤はもちろん、海外赴任まで含めて、どんな部署でも柔軟に対応し、積極的に奮起するゼネラリストでないと話にならない。中小企業では即戦力を求めているが、大企業では、卒業してすぐに現場で役に立つほど仕事は簡単ではなく、むしろ入ってから素直に成長する伸びシロが求められている。この意味で、12大学ではない+10校の学生でも、体育会系など、メンタルにも強靱なやつは、採用の可能性がある。

さて、問題は、22校のほかの学生。もちろん、ほかにも、地元じゃちょっとした「有名大学」は少なくはない。だが、有名企業2千社は全国区だ。そもそも「有名大学」と言っても、高度経済成長期の進学率と比較すれば、実質的には昔の高卒と同じようなもの。大学が有名だからと言って、就職まで有名な企業に入れるわけじゃない。可能性はゼロではないが、現実には、2千社すべてを受けても、エントリー段階でぜんぶ「お祈り」されてしまうだろう。厳しい言い方だが、企業側をあっと言わせるウリも無いのに、場違いなところに本気でエントリーしてきている時点で、企業側からすれば、ちょっと常識に疑問を感じざるをえない。百万円しか持ってないのに、新型ベンツが大好きだから、という自分勝手な熱意だけで、あちこちのディーラーを回って懇願しているようなもの。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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