”残業代ゼロ”をいかに組織活性化につなげるか

画像: Kheel Center

2014.07.03

経営・マネジメント

”残業代ゼロ”をいかに組織活性化につなげるか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

工夫なしに「残業代ゼロ」を実施すると、日本全体では晩婚少子化、個々の企業では士気低下につながる可能性が高い。賢い企業経営者なら、対象者を中心に仕事のやり方自体を見直させ、真っ当な「残業ゼロ」を実現することを選んで欲しいもの。

安倍政権の掲げる政策パッケージのうち、「時間規制の適用除外」は副作用の可能性が高い劇薬であることを前回の記事で取り上げた。

http://www.insightnow.jp/article/8152

小生の懸念をまとめるとこうなる。「残業代ゼロ」の主なターゲットとなるのは30代の中堅サラリーマンであり、上司と経営者は彼らに今以上に仕事を割り振り、結果として彼らは今以上に残業・休日出勤を余儀なくされて、子育てに協力する時間はさらに減り、晩婚少子化がさらに進展しかねない、というものだ。

この懸念が現実化するには2つの条件がある。1つは「残業代ゼロ」の対象がじわりじわりと拡大されるだろうということ。この点は歴代の保守系政権や産業界の動きからして、ほぼ堅い線だろう。今のままでは数%程度の人しか対象にならないはずだが、産業界のエライ方々は既に「最低でも10%以上が対象になるようにして欲しい」と言い始めている。

もう一つは、個々の企業では「上司と経営者は」「従来の仕事のやり方を変えることなく」「30代の中堅に今以上に仕事を割り振る」という目先だけを見た行動に出るだろうということだ。残念ながら、大多数の企業においてはこの予想は当たると思う。しかし短期的には人件費カットが可能になるとはいえ、労働意欲と士気は確実に落ちるため、本当に優れた経営者は違うアプローチを採ってくれるのではと、小生は期待を捨ててはいない。

ではどうすべきか。端的には先の条件のうち、「従来の仕事のやり方を変えることなく」の部分を変えることだ。すなわち、自社の従業員の一部といえど「残業代ゼロ」方式を適用するとしたら、彼らが本当に残業をほとんどしなくても済むように、経営者自ら音頭を執って仕事のやり方を根本的に変えるのだ。

実は、見掛け上の「残業ゼロ」を達成しながらも「サービス残業に形を変えただけ」のケースも、近年の日本企業にはよく見られた。業績悪化に伴い、残業代をカットすることが目的となった企業に多かったようだが、ある時間になるとフロアの灯りを人事総務部門の人が強制的に消して廻り、隠れ残業者がいないかチェックするというものだった。実態は単に自宅に仕事を持ち帰らせるだけだ。そもそもこういう会社の多くは、当時は不景気で仕事が減っていたから可能なだけで、その後の景気回復と人手不足で仕事が回らなくなったので、今ではこうしたやり方は止めてしまったようだ(全く首尾一貫性がない・・・)。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は事業戦略・業務改革の2つのテーマを中心に、企業改革をお手伝いします。代表である私は、30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、ハンズオンの姿勢で、実践的かつスピーディな課題解決を心掛けています。事業戦略策定については新規事業・新市場進出を中心にお手伝いさせていただいておりますが、最近は既存事業の見直しも増えています。その際のスタンスは「選ばれる理由」を明確にすることです。またBPMのエヴァンジェリストとして、BPMアプローチ(KPIを軸に狙いと手段を整合させた上で、PDCAサイクルに沿った継続的プロセス改革を進める手法)による「空回りしない」業務改革を唱えております。詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

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