2014教育サービス・フランチャイズ動向【前編】

2014.06.17

ライフ・ソーシャル

2014教育サービス・フランチャイズ動向【前編】

今野 篤
株式会社経営教育研究所 代表取締役

現在、子供向けの教育サービスフランチャイズ(FC)は、確認できるもので80本部ほどある。その内訳は個別指導FCが約50、それ以外の学習教室、幼児教育、英会話・英語教室、民間学童FCが30ほどある。今もなお、教育サービスFCは増え続けており、これは時代の新しいニーズを反映した結果だと言える。FC企業による新たな教育パッケージは大手を中心に年々増えており、その関係はかなり入り乱れてきている。

 異業種参入組では、先に述べた城南コベッツ(城南進学研究社)が予備校、ベストワン(ECC)が学習教室、トライプラス(トライグループ)が家庭教師で培ったノウハウを元にし、個別指導のコンテンツ化を図りFC展開中だ。

 多くのベンチャー系塾では、デジタル教材を使った自習型の形式をとり、リーズナブルな授業料を設定することで一定層の消費者を捉えた。さらに低価格で開業できることもあり、加盟希望者の懐事情と相まって教室数を急速に伸ばしている。少し前ではセルモ(エデュケーション・ネットワークス)やSSS進学教室(サンマエデュケーション)、そしてヒーローズ(東海出版)がこの代表例である。

 今やFCショーやフェアに行けば、雨後の竹の子如く、必ずと言っていいほど新たなFC本部が出展している。FC本部の増加は競争を激化し、消費者対して差別化されたサービスを提供できない、もしくは加盟者に対して魅力あるパッケージを提供できないFC本部は、競争から脱落し始めている。

 また、あまりにも加盟希望者の争奪戦に力を入れ過ぎて、加盟後のフォローが後回しになっているFC本部は決して少なくない。しかしFCビジネスの成功には、加盟者の育成という避けて通れない大きな問題が潜む。

個別指導FCの種類

 個別指導FCは、現在確認できるもので50本部ある。個別指導FCを、「アーリーベンチャー型」「異業種参入型」「集団指導塾参入型」「個別指導専門型」と大きく4つのタイプに分けて解説する。

■アーリーベンチャー型

 FCに参入してから10年に満たないこのグループでは、個別指導のセルモ(エデュケーションネットワークス/大阪)の300教室を筆頭に、ヒーローズ(東海出版/静岡)が120教室と勢力的に展開中。このグループの企業は、低資本で加盟できるモデルやデジタル教材を活用することで、授業料・加盟金共に戦略的な価格付けをし、既存の個別指導FCとは一線を画すビジネスモデルを構築した。

 この他、SSS進学教室(サンマエデュケーション/京都)、英才個別指導学院(エイサイ・コミュニケーション/神奈川)、個別指導GRIP(心地/千葉)、学びの森 JーSTUDIO(グロウバレー/埼玉)などが代表例である。

■異業種参入型

 塾以外の業種から参入したきたこのグループでは、城南コベッツ(城南進学研究社/神奈川)、トライプラス(TRGネットワーク/東京)、ベストワン(ECC/大阪)などが教室数を伸ばしている。これらの企業は、自社のコンテンツやノウハウを塾用のFCパッケージに仕上げ、差別化を図る戦略をとる。

次のページ ■集団指導塾参入型

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今野 篤

株式会社経営教育研究所 代表取締役

教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。

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