ビッグ・イシューを買うと・・・?

2007.12.12

営業・マーケティング

ビッグ・イシューを買うと・・・?

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

『ビッグ・イシュー』はホームレスの方が販売する雑誌。 全国主要都市の駅前や交差点などで、 右手に雑誌を高く掲げている人を見かけることがあります。 あの雑誌が『ビッグ・イシュー』です。 以前購入したことがあるよ、毎号買ってるよという方も いらっしゃると思います。

『ビッグイシュー』は1991年にロンドンで誕生し、
現在は世界28カ国、80都市で発行されています。

そして、『ビッグイシュー日本版』は2003年に創刊され、
現在は月2回発行です。

同誌は1冊300円。うち160円が
ホームレスの方の収入になります。

ビッグイシュー日本版の発行元によれば、
販売者の平均収入は、

3,200~4,000円/日(20-25冊販売)

となるようです。

この結果、路上生活を脱し、1日1000円程度で泊まれる
簡易宿泊所に移れるホームレスの方が増えてきたとのこと。

つまり、ビッグイシューを買うと、
寒空に凍えずにすむホームレスの方が増える。

今年大きな話題を集めたNHK特集「ワーキングプア」では、
年金をもらえない高齢者の方が、空き缶を集めてぎりぎりの
生活をする様子が伝えられていましたよね。

私の事務所がある本郷3丁目近辺の路上でも、
アルミ缶をリヤカーに積んだ方をよく見かけます。

あの仕事、朝から晩まで集めて回っても、
せいぜい1000円/日程度にしかならないため、
食事代をまかなうのがやっとなのだそうです。

したがって、路上での寝泊りを脱出することは
できません。

しかし、ビッグイシューを売れば、
暖かい屋根の下に眠れるだけの現金収入が得られる。

それ以上に、誰かに施しを受けるだけの情けない存在から、
社会の一員としての役割を果たしているという自覚、
働いて収入を得ているという「誇り」と「自信」が生まれる。

ビッグイシューの根底にあるのは

「セルフヘルプ」(自助努力)

です。

お腹を空かせた人に「魚」をあげるのではなく、
「魚の釣り方」を教える

という言葉の通りを実現した、
優れたソーシャルビジネスだと言えます。

さて、ビッグイシュー日本版の発行部数は、
wikipediaによれば現在約3万5千部のようですが、
もっと購入する人が増えてほしいなと思います。

実は、私は募金が苦手です。

もちろん、募金を否定するつもりはありません。
ちゃんと運営されているところがあるのはわかっています。

でも、本当に助けを必要としている人に、
自分のお金が使われるのかという不安が消えません。

しかし、『ビッグイシュー』を買うのは、
そんな不安がありません。目の前のホームレスの方の
収入になることがわかる。しかも、それは、単なる
「施し」でもありませんからね。

ちなみに、

『ビッグイシュー日本版』最新号(84号、2007.12.1)

の表紙を飾っているのは、

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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