新規事業に失敗しない方法<下>

2013.10.20

営業・マーケティング

新規事業に失敗しない方法<下>

小倉 正嗣
株式会社リアルコネクト 代表取締役

新規事業の多くは失敗する。その失敗の原因を経営者のパターンごとに分析し、成功の為の処方箋を書く。上巻からの続き。

事業責任者となった方のサポートを承る存在としては、上記の理由で新規事業が潰されるのは身につまされる思いがある。なぜならば、筆者自身が新規事業の立ち上げを行ってきた中で感じてきた忸怩たる思いがあるからだ。

初志貫徹し、事業を大きな企業の柱としていくためにも、夢々この点は忘れないで頂きたいと思う次第である。

Ⅳ.新規事業立ち上げに関与する気概ある方々へ

新規事業を立ちあげるに際しての注意点をこれまで複数のケースに分けて上げてきた。新規事業の立ちあげコンサルタントとして、自らの体験やリサーチ・インタビュー・研究の結果を元ネタとしている。新規事業を自ら立ち上げようとしている経営者の方、新規事業の責任者に任命された方、その責任者に見込まれて選ばれたメンバーの方に向けてのメッセージとなっている。ご参考にして頂ければ幸いだ。

新規事業のリスクの多くはスキル面よりもマインド面に顕著に現れる。これは通常の業務をつつがなく遂行していれば良いと考える、「変化を恐れる」人間の基礎的な欲求に基づいている為、論理より実行面での不安が大きい。あるいは、閉塞感の打破や垂直立ち上げへの期待など、余計なプレッシャーや周囲のノイズによって発生する落とし穴もあるだろう。ステイクホルダーや、自らが生み出してしまうメンタル面のノイズを避ける事で、まずは普通に努力すれば成功できるという土台に乗って頂きたいと思い、あえて最初に排除すべきリスクファクターをあげつらうことを本稿の方向性とした。

最後に、「撤退」とそれに伴う「人の処遇」についての思うところを記して結びとしたい。

残念ながら、様々なステイクホルダーによるノイズを避け、きちんとした事業計画書を作成し、ビジネスモデルを作りこみ、適切な人材を集めて始めた事業も、その多くは失敗するだろう。撤退ラインをあらかじめ決めておき、そのラインを超えた際には如何にソフトランディングを行いつつ、傷口を最小限にとどめた撤退が出来るかが極めて重要となる。

いわば、株式相場に身をおいた際の「損切り」概念と同じと言える。いかにもったいないと思う気持ちを断ち切ることが出来るかという点が意思決定者にのしかかる。

しかし撤退に関しては、機械的に行ってはならない。撤退ラインが近くなってくると、往々にしてメンバーには焦燥や心配の様子見られるようになり、浮足立ってくる。中にはあきらめモードで完全に士気が下がっている場合もあるが、なんとか少しでも形になるところにまで持って行っている場合には、なんとか事業を残そうと頑張るだろう。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

小倉 正嗣

株式会社リアルコネクト 代表取締役

【自己紹介】 BtoB営業組織改革・新規事業開発を専門とするコンサルタント。新規事業企画担当者・営業マネージャー・B2Bマーケッター・営業マン向けのセミナー/研修/ワークショップの講師・ファシリテーターを中心に営業組織改革、新規事業開発支援等のコンサルティングを行っている。 【保有資格】 中小企業診断士・経営管理修士(MBA)・日本酒利酒師

フォロー フォローして小倉 正嗣の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。