大学改革の外野意見は的外れ

2013.03.30

ライフ・ソーシャル

大学改革の外野意見は的外れ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/外野で大学改革論がうるさいが、結局、戦後の実業重視の私立は三流のままじゃないか。真の勉強は、知識や技術ではなく、人間としての成長鍛錬。世間から距離を置き、知のリゾート地に遊んでこそ、時代の右往左往に振り回されない見識も身につく。/

 ああすべきだ、こうすべきだ、と、うるさい外野連中が多いが、しょせんまともな大学人じゃない。だから、大学というものの根本を理解しておらず、話にならない。学力向上のためには、とか、国際競争のためには、とか、言うが、そんな程度のことのために大学があるわけじゃない。

 そもそも大学というものは、その時々の利を追う企業とはまったく別種の存在だ。政治ほどにも変らない。たしかに形式的には文科省の監督下にはあるが、へたに干渉すれば、過去の事例のとおり、かならず禍根を残す。大学の自由は、近代の報道の自由どころか、数千年来の学問思想の自由の伝統の上に成り立っており、三権分立の外、それどころか、国家の外、歴史の外の存在ですらある。

 戦後、日本では、就職準備の実業学校みたいな即席大卒製造私立が爆発的にはびこったが、知ってのとおり、結局いまだに三流以下じゃないか。その卒業生は、大卒と言えば大卒だが、それ以上でも、それ以下でもない。それじゃ、やたらいっぱいいるものの、すぐにやられて捨てられる緑色の量産型ザクみたいだ。この場に及んで、まだ、大学は就職だ、実業だ、英語だ、国際化だ、なんて言っている連中は、それなら自分自身でそんな「理想」の大学でも作ってみたらいい。その程度の浅はかな安っぽい「理想」で学生が集められるくらいなら、あの超巨大な即席大学群がこんなに苦労はしていないよ。

 腐っても鯛。やたら改革、改革と言う前に、なんで、結局、いまだに、どうせ行くなら、東大、ハーバード、オックスフォードなのか、すこしは考えてみたらどうか。大学なんて、昔から変わらないことを教えるところ。芽が出るかどうかもわからないようなことを大まじめに調べ考えるところ。だいいち、確実に結果が出る最先端の研究なら、きっちり投資も集まるし、一般企業が我先にやっているのだから、そっちでやればいい。大学をレジャーランドとバカにするかもしれないが、大学は、まさに知のリゾート地。若いうちの放浪修業と同様、こういうところでムダにのんびりと視野と世界を広げておいてこそ、その後の人間の大きさに繋がる。それがわかっているから、ろくに改革なんかしない、古くさい大学の方が、どこの国でも、いつの時代にも人気がある。

 なんのために大学に行くのか、よく考えてみたらいい。知識や技術を得たいだけなら、専門学校か、専門学校まがいの三流大学に行けばいい。だが、真に勉強する、ということは、知識や技術を得る以前の自己鍛錬。ほんとうに人間として成長するために、ごちゃごちゃとこうるさい目先の損得や直近の流行を追う生活から数年間は距離を置き、宇宙普遍・人類共通の知の世界に遊んで、これが最先端だ、あれが新潮流だ、などと、いつもいつも性懲りも無く浮かれ騒ぎ続けている世間のバカな右往左往を客観的に冷めて見られるようになってこその大学。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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