非常時にネット情報は信頼できるか

2013.03.10

IT・WEB

非常時にネット情報は信頼できるか

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/非常時には、テレビや新聞より、ネットの裏情報の方が信用できるような錯覚に陥る。ところが、とんでもないガゼデマを飛ばして、PVを挙げ、広告費の小銭稼ぎを狙う連中も出てくる。/

 2年が過ぎた。なにも終わっていない。それどころか、箱根だ、富士山だ、西南海大地震だと、次の不安は尽きない。同じ過ちを繰り返さないためにも、あのときのガセデマについて振り返ろう。テレビや新聞については、政治的操作があることくらい、我々は織り込み済みだ。問題は、あたかもその間隙を突くかのようなネット情報。

 2年前のあの時、ネット上でもっとも悪質だったガセデマは、MIT研究者を騙った3月14日の似非解説。(http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/2011-03.html)「今までそしてこれからも深刻な放射能物質の漏洩は決して起こらない」「根拠なく不安を煽り立てるような言説を流すことは、彼らへの冒涜であるばかりか、無用な社会混乱を引き起こし、不測の事態を誘発しかねない」云々。しかし、このひどいガゼデマの背景には、これを翻訳掲載したLM-7という匿名人物がライブドアから300万円を受け取っていた、という大きな問題がある。

 元記事は、前日に morgsatlarge.wordpress.com に掲載されたもの。(http://morgsatlarge.wordpress.com/2011/03/13/why-i-am-not-worried-about-japans-nuclear-reactors/)プロのジャーナリストの訓練を受けたことがある者であれば、こういう記事を読んだだけでも、あえて方法論的にまず疑ってかかり、このサイトそのものの信憑性はどの程度か(たとえば虚構新聞や毎日デイリーニューズのようなものではないか)、この記事の著者がほんとうにMIT研究者としての実体があるか(たとえばiPS森口ような人物ではないか)、この記事の内容について他の主要専門家はどんなコメントをしているか、等々を、すぐにチェックする。翻訳紹介する、ということは、手形の裏書と同じで、連帯保証人として、元記事の発信者と同様の100%の責任を負うからだ。

 事実関係からすれば、まさにこの元記事の著者は、たしかにMIT出身ながら、経営学関連(MITは工科大学ながら、じつは経営学部や人文社会学部もある)で、事故を解説するにたる専門性を持ち合わせておらず、すぐにMITの原子力プロパーの研究者たちから記事の基本的な誤謬が指摘された。ところが、LM-7という匿名人物は、そんな問題は無視。そもそも本人からして正体不明。それどころか、本人が「似非理系」学校出身で、趣味は「疑似科学いじり」とさえ自分で言う。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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