若者が多い会社に就職してはいけない

2013.01.30

組織・人材

若者が多い会社に就職してはいけない

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

/若手ばかりで活気のある会社は、最初の十年で市場飽和に達し、新規採用がまったくできなくなる。そこから新規事業だの、国際展開だのをやるくらいなら、若手だけの別会社の方が効率がいい。いまの見た目に騙されず、十年後の社内を想像してみろ。/

 近年、ITやファッション、飲食関係で、やたら若い従業員に溢れている会社が少なくない。職場の雰囲気も明るい。社屋も新しい。なにより社内に活気がある。年寄りだらけで半ば死に体のオンボロ会社などより、たしかに魅力的だ。だが、見た目に騙されるな。先を考えろ。十年後を想像してみろ。

 かつて会社というのは、十年、二十年という年月をかけて成長したものだ。新入社員が管理職になるころ、ようやく部下もピラミッド型に増えて、本社ビルを建てられる、というのが穏当な道だった。だが、今は違う。たった五年で事業が市場飽和に達してしまう。十年目には、もはや悪あがき状態。だから、すぐにブラックになってしまう。

 ようするに、いまは起業してすぐに爆発的に成長する。このため、最初の十年に大量の若手人材を採ってしまう。ところが、市場が無限にあるわけではない。全国展開したところで打ち止めだから、もう新規採用はできない。にもかかわらず、ただ年功だけのベースアップで人件費が経営を圧迫する。そのうえ、ありあまる従業員が、それぞれに思いつきで余計なことばかりやって、会社を内側から消耗する。だから、絞り込み、つまりリストラの首切りを始めないとならない。そうでなくても、会社自体、にっちもさっちも行かず、仕事はどんどんきつくなる。それで嫌なら辞めてくれた方がいいのだ。

 そもそも、こういう企業の経営者は、商売は上手でも、経営の才能が無い。目先の戦術はうまいが、長期の戦略が無い。いや、確信犯かもしれない。とりあえず雇うなら、中高年よりも、若い連中の方が安いし、従順だ。上がおらず、すぐに店長だ、課長だ、と昇格できるから、バカみたいに喜んで働いてくれる。十年たって、三〇代になったら終わり、とも知らないで。

 当初の事業で全国市場が飽和してしまうと、今度は、新規事業だ、国際展開だ、と夢物語を言うしかない。だが、三〇も過ぎた古顔の連中が、もはや素直に言うことを聞くものか。そもそも、彼らにはもはやそんな柔軟性もない。新規事業だの、国際展開だのをやるなら、まったく新規に新卒を採った方が給与も安いし、対応力もある。ようするに、三〇代以上の人材という「不良債務」を抱えている会社をなんとかするより、まったく新たに別会社を建ててしまった方が速い。へたに過去がない方が、資金も集まりやすい。

 実際、バブル以降の新卒人気企業の末路は、あまりにみじめなものばかりだ。残っているのは、一握り。それらだって、どれもこれも、新規事業だ、国際展開だ、と、できもしないウソで社内をごまかしている。だが、なにより、経営者本人の年齢がネックになってしまっている。いくら実績があっても、過去は未来に通用しない。世間は、頭打ちの大企業より、経営者も若手気鋭の新企業の方に期待する。

Ads by Google

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

フォロー フォローして純丘曜彰 教授博士の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。