新規事業には4つのアプローチがある

画像: Climate-KIC News

2015.08.06

経営・マネジメント

新規事業には4つのアプローチがある

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

新規事業には4つのアプローチがある。「競争戦略」「ブルー・オーシャン戦略」「ビジネスモデル変革」「未開拓市場進出」である。

第3は「ビジネスモデル変革」である。商品・サービスのカテゴリー的には(自社にとっても世の中的にも)既存のものであっても、事業を成り立たせる仕組みが従来のものと違うことで、新しい価値を提供できたり強い競争力を持つことができたりするものである。もちろん、結果としてブルー・オーシャン的な新カテゴリーの商品・サービスが生まれることもよくある。

例とすると、製造小売アパレルであるSPAが登場したときはまさにそうだったし、アマゾンや楽天などの「ネット○○」が登場したときも新ビジネスモデルだった。見かけ上は地味な例でいうと、最近サッポロビールが小売と“専売”ビールを共同開発したのもそうである。

この「ビジネスモデル変革」は方法論的にはまだまだ十分体系化されたとは言い難いが、近年目覚ましく発展途上である。「ビジネスモデル・キャンバス」が有名になってきているが、他にも様々な手法群がある(中には焼き直しや、無駄に細分化しただけと思われるものもあるが)。

「ビジネスモデル」の主要要素の定義、それらをどう組み合わせることで新しいモデルが開発できるか、どういうプロセスで開発・展開できるのか等々、多様な事例研究と体系化の試みが行われている。小生もクライアントと共に新規事業プロジェクトで日々実践するのと並行して、勉強会などで事例や新しいモデルを有志の方々と研究している。機会があれば紹介したい。

最後の4つめが「未開拓市場進出」である。小生が今、力を入れている東南アジア市場進出はこの中に含まれる。自社にとっては未開発市場であるが、進出先の市場に当該商品・サービスのカテゴリーが既にあるのかそれとも新規か、ビジネスモデルとしては既存のものでできるのか、それとも新たに組みあげないと事業にならないのか、それぞれ両方のケースがある。

つまりこの「未開拓市場進出」のアプローチにおいては、先に挙げた3つの戦略開発方法論体系でいうと、いずれもあり得るのである。

どれが一番難しいかと時に聞かれるが、第1を除けばどれも実現自体簡単ではないし、成功確率を考えるといずれも同様に難しい。だからといって新規事業に全く取り組まない会社に未来はない。経営環境や事業機会・自社資源との相性も考慮して、高度に判断するしかない。

(本記事は2012年12月5日に掲載されたものを再編集しております)

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。新規事業の開発・推進、そして既存事業の収益改善を主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/               弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashinban/            最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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