ネットサーバーのアドレスは地獄の一丁目

2012.06.25

経営・マネジメント

ネットサーバーのアドレスは地獄の一丁目

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

ファーストサーバ社が5000社分以上ものデータを消失させた。経理関係のデータを失った会社は、大騒ぎだろう。ネットなど、しょせん通信手段で、リアルな実体なバックアップがあればこそ。さて、ブログやSNSの他に、あなたにリアルな実体のバックアップはある?

去る6月20日、ファーストサーバ社が有名企業5000社分以上のデータ消失をやらかした。今現在も復旧の目途は立っていない。それどころか、23日、復旧は不可能、それぞれの顧客が自分でなんとかしてください、と白旗を揚げた。小林製薬のように自力復旧したところもあるが、ある大学などは、いまもホームページは完全消失のまま。学生の個人情報、学籍管理、成績管理のデータベースなどもすべてサーバー側で動的に保管していたとしたら、大変なことになる。まして、経理関係のデータまでサーバーの中で管理していた会社、そんな会社と取引していた会社は、この月末は支払と取立で大騒ぎだろう。にもかかわらず、新聞でも、テレビでも、ネットでも採り上げない。それは、このサーバー会社が、巨大広告スポンサーの大手携帯会社ソフトバンクの孫会社、大手検索会社Yahoo Japanの子会社だから、なんて、業界ではウワサされている。

この数年、「クラウド」だとか言って、なんでもかんでもネット上のサーバーでデータ管理しましょう、そうすれば、社内で物理的サーバーを管理する人件費やリスクが削減できるし、日本中のどこの支社からでもアクセスできるようになる、と、ハーメルンのIT男たちが笛を吹いて流行らせようとしてきた。が、データを掠って行って、みんなどこかに消しちまった。まあ、バカじゃなければ、幸いに今回は無傷だった顧客会社も、こんな管理の杜撰なサーバー会社からは手を引いてしまうだろうから、親の検索会社、祖父の携帯会社が支えない限り、最低限の補償能力も無くなる。それ以前に、全データを消失してしまった自分の会社の方が来月まであるかどうか。

悪質なのは、バックアップなどの手間が無くなる、というのが、このサーバー会社の売り文句だったこと。原子力発電所や資産運用会社ほどにも、サーバーの管理体制は、目で見てわかるようなものじゃない。リスク分散のために、同じところにバックアップ用の物理的サーバーをまとめて置いてあるわけじゃなし、バックアップの取り方も、方法や頻度など、説明どおりに行われているのかどうか、ずっと見張っているわけにもいかない。今回の事故の原因は、いまだ不詳だが、プログラムのバグ、その初動対応の失敗、それによって白紙になったデータの方がバックアップに上書きされてしまった、というような三重以上の問題があったのではないか、と推察される。

その前の「Web 2.0」もそうだったが、今度の「クラウド」も、流行語のための流行語のようで、最初からなんともウサンくさいニオイが立ちこめていた。年来のITゴロみたいな連中が、そんなことも知らないの、と、人を小馬鹿にした調子で、あちこちで講演をして歩いていたが、リアルな実体があるのやら、無いのやら。さすが消臭元の小林製薬あたりは、ウサンくさいニオイにも敏感で、自社の方にも完全バックアップをしていたようだが、見ようによっては、類は友を知る、ともうがちたくなる。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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