パワハラ防止は、弱者保護ではありません!

2012.04.01

組織・人材

パワハラ防止は、弱者保護ではありません!

唐澤 理恵
株式会社パーソナルデザイン 代表取締役

2012年1月30日厚生労働省が初めてパワーハラスメントの定義を公表しました。上司から部下へのいじめ・嫌がらせと言われていたパワーハラスメントは、なにもそうれだけでなく部下から上司もあり、同僚から同僚へもあるとのこと。さて、パワハラ防止とは弱者保護のためのものなのでしょうか?

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職場上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

2012年1月30日に公表された厚生労働省によるパワーハラスメント(以後、パワハラと呼称)の定義です。

企業を取り巻く人権問題やメンタルヘルス問題、企業の不祥事や情報漏洩など、かつてはあまり世に出ることのなかった問題が今注目されています。なかでも精神障害による労災請求件数や実際の認定も増加傾向にあります。平成10年には42件の請求が、平成22年には1181件ですから、12年間で約30倍となったわけです。個別労働紛争相談件数をみても、いじめ・嫌がらせに関する相談は39405件という数であり、こちらも10年でほぼ3倍に膨らんでいます。

と言っても、これらの相談がすべていじめ・嫌がらせというわけではなく、単なる受け手の誤解という事例もあります。

しかし、さまざまなハラスメントが潜む職場こそ、マイナス情報を上司に報告しにくい空気感をつくり、隠ぺい体質が醸成されていくとも言われています。オリンパスの例をとっても、今回の事件と昨年の内部告発による訴訟事件との関連性は否めないと言えるでしょう。

そんな折に、冒頭のパワハラの定義が公表されたわけです。造語であるパワハラですから海外ではそのまま通じるわけではありませんが、日本で問題視され始めた事象だけに一体どういったものなのかを始めて世に明確にしたという点で意味があると言えます。

職場上の地位とは、上司がもつパワーです。人間関係などの職場内の優位性とは上司とは限らず誰でももつ可能性があります。学校の生徒同士のいじめなどもその優位性を使ったものでしょう。

業務の適正な範囲を超えてというのは、一番悩ましい判断基準ですが、例えば建設現場と研究所では大きな違いがあります。建設現場でボケッとしている部下に上司が「ばかやろう!」と大きな声で叫んでも業務の範囲かもしれませんが、シーンと静かな研究所では同じように叫んでは業務の範囲外になってしまう可能性があります。そういった言動によって、精神的に病んでしまったり、身体的に働けない状態に陥ってしまえば会社にとって大きなダメージです。また、パワハラを受けてなくても、それを観ていて気持ちの良くない周囲の社員の効率が落ちることも会社にとってはマイナスです。

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唐澤 理恵

株式会社パーソナルデザイン 代表取締役

「自分らしさをデザインする。」をコンセプトに、独自のパーソナルアイデンティティ分析を基に業界・業種・役職に合った「自分らしさ」をスタイリスト、ヘアデザイナー、ボイストレーナー、演出家ほか各種スペシャリストとともに演出をサポートしています。ビジネスパーソンのためのパーソナルプロデューサー、が肩書きです。

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