パウダー300%でハッピーターンフリークを狙う亀田製菓

2011.04.21

営業・マーケティング

パウダー300%でハッピーターンフリークを狙う亀田製菓

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 表面にまぶされた粉(パウダー)の旨味で絶大な人気を誇る、亀田製菓のせんべい「ハッピーターン」。近年パウダーを増量し続けているが、ついに標準・100%の3倍増し、300%に達した!


 ハッピーターンが発売されたのは1977年のこと。そのネーミングはWikipediaの記述によれば、<商品開発当時、第一次オイルショックの影響で不景気であったことから、「幸福(ハッピー)」が客に「戻ってくる(ターン)」よう願いを込めて名付けられたものである>とある。
 商品の最大の特徴は、人を酔わせる「魔法の粉」とも呼ばれる「ハッピーパウダー」と呼ばれる粉がまぶしてあること。その原料は<「砂糖・塩・アミノ酸・タンパク加水分解物でできている」>と同社工場長がテレビ番組で語ったと同じくWikipediaに記述されている。さらに、せんべいの表面がざらついているのは粉の生だけではない。ハッピーパウダーが付着しやすいように、「パウダーポケット」と名付けられた凹凸の加工が施されているのである。つまり、ハッピーターンはパウダーなくしては語れない商品なのである。

 パウダーの増量が始まったのは2009年のこと。通常の倍に増量された「ハッピーパウダー200%ハッピーターン」をコンビニ限定で発売。2010年4月からセブンイレブン限定で「ハッピーパウダー250%ハッピーターン」も発売されている。

 今回の「300%」は、正確にはパッケージに表記されているように「200%+100%相当のハッピーパウダー」だ。カップ型の容器上部にアルミパウチされた100%分のハッピーパウダーが添付されていて、購入者が容器内の200%ハッピーターンにふりかけ、容器をシャカシャカ振って仕上げるという仕掛けだ。商品名「ふりふりハッピーターン」のゆえんである。
 この商品の原型は増量200%が発売される以前、2005年にも「シャカシャカハッピー」として発売された。当時を思い起こせば、「魔法の粉」に魅入られてきたハッピーターンフリークたちは「夢が叶った!」と狂喜した。「もっと濃い味、パウダーたっぷりのハッピーターンが食べたい!」とかねてから思っていた者が多かったからだ。

 しかし、人の欲望とはとめどないもの。「濃い味」に満足した後、「他のせんべいに振りかけたらどうなるだろう?」と考え、実行するチャレンジャー、または実験くんも少なくなかった。それでは亀田製菓はうれしくない。せめて自社商品の「ソフトせんべい」に振りかけてくれるならいいが、他社商品に振りかけられて、ハッピーターンの売上を喰ってしまったのでは、もともこうもない。そこで、その後、パウダーの別添ではなく本体への増量という展開がとられたのではないかと考えられる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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