『人事制度』~評価の3つの機能~

2010.12.08

組織・人材

『人事制度』~評価の3つの機能~

今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長

人が人を評価するということは非常に難しいことです。業績を評価して報酬を決めるというだけではない、3つの機能を理解して、手間隙を惜しまず取組み続ける必要があると思っています。

マングローブ(弊社)創業以来、最も長く提供しているコンサルティングメニューは「人事制度の構築」です。その次に長いのは、人材採用の支援事業。そして、教育研修事業。最後に、組織変革コンサルティング事業、の順番です。

どれも難しい仕事ですが、とりわけ人事制度の構築の仕事は難しいです。
どの点がと言いますと、「人が人を評価する」という難題に挑戦しているということです。

ブログにももう何度も書いていることですが、サラリーマン時代に人事部の仕事だけはやりたくないと思っていましたら、あろうことか自分に白羽の矢が立ちまして、9年半もの間人事部門の責任者をやる羽目になりました。

どうせやるなら、自分らしくやりたい。
どうせやるなら、自分がやりたくなかったポイントを裏返していくようなやり方をしたいと考えていました。

私が人事部が嫌いだったポイントは・・・。

人材採用に当たっての採用基準として「賢いか賢くないか」が大きくあり、それを昨日今日会社に入った青二才が分かったように言い、所謂ジャッジしていること

評価制度の評価の実態が、仕事の評価よりも「人物評価」に偏っているということ

教育研修は、360度のサーベイに基づいているのはよかったがトレーナーが未熟な社内トレーナーだったために、トレーナーの自慢話と人格攻撃の傾向があったこと

という採用~評価~教育の全体を通じて、「人が人を扱う仕事」というものは、実に難しく、よくよく考えて取り組まないと害も多いということを感じていました。

さて、人事制度の話に戻しますが、「社員を評価する」ということは、言うまでもなく「目的」ではなく「手段」であります。

何の手段かと申しますと、最終的には「成長し、やる気を出し、いい仕事をして、業績につなげていくこと」のための手段のはずです。

人事制度を構築し、運用を始めて、回り始めるとそれを管轄する部署で、よほど意思を強く持ってその「目的」に立ち返り啓蒙を続けないと、評価することそのものが目的化して、年に1度ないしは2度(中には4度の企業も最近多いのだそうで)の評価の時期の一連の流れが「作業化」していってしまいます。

私は、評価制度には、次の3つの機能があると思っていまして、それらが効果的に発揮されるように設計し、運用しなくてはならないと考えています。

【社員を評価することの3つの機能】

1.激励する機能

基本的には、社員一人ひとりが、自分の精一杯の努力をし、成長したい、もっといい仕事がしたい、貢献したい、と思っており、もし何かうまくいっていないとすれば、それはたまたま何かの制約でうまくいっていないだけだと思います。

次のページ2.適性を見極める機能

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今野 誠一

今野 誠一

株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。

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