家電アプライアンスの発想をITにも (後)

2010.11.29

開発秘話

家電アプライアンスの発想をITにも (後)

根井 和美

企業向けソフトウェア販売/サポートの老舗、アシストが、苦労の末、主力商品サービス、DODAI(ドダイ)を自社開発した。その開発ストーリーから、商品サービス開発の要諦を探る。

 このように、岸和田の発想の原点は、「こうしたら、もっと現状が良くなるのではないか」「それを改善する方法がないのなら、自分で作ってしまおう」というところからスタートしているようだ。岸和田は言う。「言葉は良くないですが、ITは家内制手工業の状態です。ITの分野で働きながら、現状はそうなんです。それをせめて、工場製品のレベルまで押し上げたかったんです」

 「そういえば、同じ発想でパフォピーも作りましたっけ」

 パフォーマンス・セラピー(パフォピー)とは、DODAIの前に岸和田が開発したWebサービスで、WebからOracleのパフォーマンス・データを登録すると、データベース診断を無料で行い、その結果をWeb経由で提示しようというものだ。Oracle標準のパフォーマンス分析レポート(Statspack)があるのだが、テキスト形式であるため、手集計して表計算ソフトでグラフ化するのが手間だった。客先で経験した2つの開発/運用案件でもStatspackを多用しており、レポート化のニーズがあると考えていたため、社内プロジェクトで提案して採用されたのだという。

 岸和田からDODAIの提案を受け、会社として商品化に踏み切ることを承認した当時の上司、田畑哲也は次のように振り返る。

 「岸和田とは、以前フットサルでも一緒にプレーしていて、彼がセンターバック、私がキーパーで結構名コンビだっと思います(笑)。フットサルのプレー・スタイルが仕事にも表れていて、しっかりした技術力をベースに、問題が発生しても冷静に分析的に対処し、粘り強く問題解決に取り組んでいく姿勢が見られました。勉強熱心で、問題解決の手法やマネジメント手法に関する本もよく読んで研究し、DODAIの開発に役立てていたようですよ」

 また、岸和田の弱点については次のように指摘する。「私の粘りの無い部分をだいぶ助けてもらったように思います。もっとも、彼の融通の利かないところをフォローしてあげたりもしましたけど・・・」。2人は文字通り名コンビだったようだ。

■最も苦労した点は

 DODAIの商品化で最も苦労した点は何かという質問に対して、アシスト独自ソリューションの商品化であり、コンセプトを「売る」ことがいかに難しいかを実感したという。

 「ハードウェアとソフトウェアの組み合わせや検証など技術系のことは、プロジェクトの仲間の2人(中村真之と佐藤彰広)と協力して対応し、もちろんかなりハードなスケジュールではあったものの、それほど苦には感じなかった。しかし、コンセプトを理解してもらい、購入という行動に結びつけてもらうことが、いかに難しいかを痛感した」(岸和田)

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