金にならずともサステイナビリティ。米国包装産業の覚悟

2010.11.12

経営・マネジメント

金にならずともサステイナビリティ。米国包装産業の覚悟

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

米国の事例になるが、包装産業においてサステイナビリティ(環境保全と経済性を調和させた持続的成長)への取組がサプライヤや商品選定において重要な要素となっていることが明らかにされた。他にも包装業界におけるサステイナビリティの取組を進めていく上での課題も明らかになっているので、今回は、この調査結果についてご紹介する。

また、評価方法の問題も課題として挙げられている。調査では、3/4の回答者が包装業界全体として国際的に統一された各企業・商品のサステイナビリティを評価する指標が、60%の回答者がサプライヤのサステイナビリティへの取組を評価するスコアカードもしくはレーティングが必要と回答。

現在のサステイナビリティの評価基準としては、リサイクル素材が最も多くの回答者から挙げられた。他にも、36%がリサイクルや再資源化しやすいデザイン、35%が有害化学物質の不使用、29%が将来的なリサイクルの可能性といったリサイクル関連項目がサステイナビリティの評価指標として挙げている。次の評価指標としては、エネルギー消費量(42%)。ライフサイクルアナリシス、カーボンフットプリント、温暖化ガス排出量といった測定指標の活用も多くの回答者が評価基準として掲げている

最大の課題は経済性との両立。90%以上がどんなサステイナビリティの取組よりも効率とコスト低減の方が大切と指摘。現在の景気低迷状況では、2/3近くの回答者がサステイナビリティへの取組を進めるのは困難と述べている。その他のサステイナビリティへの取組の阻害要因として、49%が資源価格、42%が価格引下げ圧力、38%が代替素材の不在、37%が他社との競争、35%が品質要件未達、24%が既存のサプライチェーンへの統合を挙げている。

お客様の姿勢の問題も挙げられている。80%強の回答者がお客様が環境負荷を低減する包材を求めているが、その機能を価格に転嫁することは許してくれないと嘆く。ここでいうお客様は、回答者がサプライチェーンのどの位置に属するかで異なっており、多くの回答者がサステイナビリティのトレンドを引っ張っているのは小売と消費財メーカであり、消費者ではないと述べている。

それでも一人の回答者は「サステイナビリティへの対応はコスト、耐久性、外観と共に第四の最も重要な選定要素だ。」と答え、また、2/3の回答者がサステイナビリティの取組に遅れをとることは、企業レピュテーションを損なうリスクがあるとしている。ある回答者は「サステイナビリティは品質管理プログラムと同じだ。事業を行うのに絶対に必要という訳ではないが、1、2年後に事業を継続していく上ではそういう訳にはいかない。」と記述している。

こうした調査結果を見ると、金にならなくとも、サステイナビリティの取組を進めていかなければならないというのが米国包装産業の現在の状況といえよう。
米国の包装産業の現状を見ると、やはり環境負荷の低減、サステイナビリティの取組は、お金を使うのではなく、LeanでGreenの発想で知恵を絞っていくしか、今回の調査で指摘されている課題を克服する方法はないのではと思える。難しい課題だが、大丈夫。「必要は発明の母。」各社各人が知恵を絞れば環境負荷の低減、サステイナビリティと経済性、きっと両立できると信じる。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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