やらないだろうが、日本航空(JAL)がLCCに向かない理由(わけ)

2010.11.10

経営・マネジメント

やらないだろうが、日本航空(JAL)がLCCに向かない理由(わけ)

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

経営再建中の日本航空であるが、8月に東京地裁に提出していた更生計画案では、現在、航空業界で隆盛のLCC(ローコストキャリア)の設立の検討を明記していた。しかし、たとえ別会社形式であろうが、日本航空がLCCに参入したら必ず失敗し、更に迷走することになるのは間違いない。LCCの手法やその背景にあるコストリーダーシップ戦略で不可欠な要素から、その理由(わけ)を明らかにする。

その競争、発想の苛烈さから、オーナー経営者特有の大胆さ、コストに対する厳しさがないとコストリーダーシップ戦略では成功しえないのだろう。日本のように終身雇用で身分が保障されたサラリーワーカーには、金儲けのためにそこまで死に物狂いになるというインセンティブは、雇われ社長を始めとしてあまりない。

ある意味、コストリーダーシップ戦略は、戦略というより、企業DNA、文化に近いもので、会社の隅々、従業員の骨の髄までそれを浸透させる必要がある。「機能を削るのはVE(バリューエンジニアリング)ではない」という文化を持つ日本の大手企業にはそうしたDNA、文化は相容れないのではないか。特に、既存事業の存続さえままならなかった会社に、コストリーダーシップを貫く気概、マインドはあるだろうか。すぐに「そんなことをしたらウチのブランドに傷がつく!」「何もそこまで。。。」と施策が丸められてしまう。それでは、他社に対する圧倒的な価格差など実現できるはずもない。

日本航空の稲盛和夫会長は先月開かれた講演で、LCCについて、参入を検討中であることを強調したものの「過去に米国の大手航空会社がLCCを設立・運営したが、2年ぐらいですべてやめている例がたくさんある。そういう先例を見ながら(考えたい)。まだ(方針を)固めた訳ではないが、JALという会社は、やはりハイクオリティーの航空会社であるべきではなかろうかと思っている。お客様に喜ばれ、愛される素晴らしい航空会社にしたいと思っている(出所:2010/10/20 J-CASTニュース)」別の質問でも「質のいい、ハイクオリティーな、プレミアムな輸送会社を目指したい」と述べ、格安志向を否定したとの事。それは正しい見識ではなかろうか。

中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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