アシストがMSから無償オフィス・ソフトへ全面移行した理由

2010.09.11

経営・マネジメント

アシストがMSから無償オフィス・ソフトへ全面移行した理由

喜田 真弓

2007年3月、アシストは社内の標準オフィス・ツールをMicrosoft OfficeからオープンソースのOpenOffice.org*へ全面移行した。その背景と導入時の苦悩を、アシスト公開ソフトウェア推進室神谷昌直が語った。 *OpenOffice.orgはワープロや表計算などの機能を持つオープンソースの統合オフィス・ツール。Microsoft Officeと互換性があるだけでなく、無償で自由に利用することができる。

洗い出された課題の解決策はすべてめどがつき、あとは実行に移すばかりとなった。

■移行開始と思わぬ落とし穴・・・そして

2006年12月末、全社員に向けて標準オフィス・ツールをOpenOffice.orgとする告知を行い、既存ファイルの変換作業が始まる。ファイルは全社共通、部門共通、個人使用の3段階に分け、作業はアサインされた各部門の担当者が行うことになった。変換時の問い合わせはヘルプデスクが対応することとし、変換期限は2007年1月31日、同日をMicrosoft Officeの削除期限とした。

社員からインストール方法や使い方についての問い合わせが集中することを想定して、社内にOpenOffice.org専任のヘルプデスクを設置。ここでは、メール、電話による問い合わせ対応を行い、また、よくある質問に関してはFAQも用意した。

約1ヵ月の移行期間があったにもかかわらず社員の多くはぎりぎりになるまで移行作業を行わなかったとみえ、問い合わせが集中したのは1月末から2月はじめの2週間。その間約200件以上の質問がメールや電話で寄せられた、と神谷。そして問い合わせのほとんどはやり方を、知らない、わからない、というもので、機能がなく対応できないケースはほとんどなかったと言う。

移行後、全社員にOpenOffice.orgの利用調査のためにアンケートを実施、回答は600件、回答率は80%を超えた。多く寄せられた「事前に教育をして欲しかった」という要望に対しては、eラーニングでの教育や、教育センターが移行研修コースを提供するなどして対処し、また製品に対する要望はOpenOffice.orgのコミュニティへ還元することにした。

コスト削減については、アシストではMicrosoft Officeを3年契約で購入しており、バージョン・アップなどの権利が2007年時点で約2年間残っていた。Microsoft Officeの集約を進めることで2009年の更新時に、3年間で約1,700万円のコスト削減が実現した。Microsoft Officeのライセンスを多く持つ企業ほどコスト削減が期待できるだろう。

■そして、現在

2010年9月。いまアシスト社内における標準オフィス・ツールはOpenOffice.orgであり、社内業務においてはほぼ100%がOpenOffice.orgである。例えば、全社共通の各種申請書などは社内イントラにて公開しているが、すべてMicrosoft OfficeではなくOpenOffice.orgのファイルで公開している。

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