部課長の対話力〈1〉~上司の対話が個と組織を強くする

2010.08.04

組織・人材

部課長の対話力〈1〉~上司の対話が個と組織を強くする

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

ミドルマネジャーたちは日々、上へ下へとコミュニケーションを盛んに行う。部下への指示・命令、会議での討論、外部との折衝、上への根回し、会話・雑談などなど。……しかし、彼らは最も重要な何かを避けてはいないだろうか?

 ○「経営者が魅力的な戦略もビジョンも出さないから、対話の材料がない」
 ……経営者がダメだからと理由づけしているあなたの下には、たぶん「うちの部長・課長がダメだから」とやる気を起こさない部下が何人もいることでしょう。

 部課長たちがこうして部下との対話を逡巡している間に、職場のギスギス化はどんどん進んでいます。「仕事・働くこととは何か?」という根っこにある大きな問いを上司も部下も放置すればするほど、職場は「所詮、カネ稼ぎのための辛抱場所」という殺伐とした空気が濃くなっていきます。
 ギスギス化の要因を成果主義の導入や経済のグローバル化による利益主義と片付けることは簡単です。しかしマクロからああだこうだ言うだけでは事態は改善に向かいません。ミクロ、つまり一人一人に語りかけることからのアプローチが絶対的に必要なのです。

 ◆部課長の対話する力――それは組織にとって重大な分岐点である
 企業を強くする源は何でしょうか? 技術力、資本力、事業理念、経営者の指導力、組織風土、優秀な人財を集めること……それはさまざまに考えることができますが、私は「部課長の対話力」を無視してはならないと思っています。
企業を強くするものを源まで突き詰めていくと、「働くことは厳しいけど奥が深い。もっと働くことにチャレンジしよう」という個々の働き手のアクティブな就労意識と、「この事業を通し社会で求められる存在になる」という組織の理念意志が相互に絡み合う状態です。この個と組織の有機的反応を促進するのが、ほかならぬ「対話」です。

 部課長がよき対話を起こしている組織は、仕事の厳しさを個人の成長と組織の発展に変えていくことができます。逆に対話をなくした組織は、個がどんどん心に余裕を失くし、自分のことで精一杯になります。結果、組織は砂漠化し弱体化します。その分岐点に存在するのは間違いなく部課長なのです。
「仕事とは何か?」を部下と真正面から対話すること―――部課長はこれを腫れものに触るような感じで避けるのではなく、勇気をもって仕掛けねばなりません。
個と組織を強くするための「部課長の対話力」―――このテーマにつき以降数回にわたって考察していきます。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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