コンテンツは私たちの内側にある。

2010.07.18

営業・マーケティング

コンテンツは私たちの内側にある。

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

モノが売れない時代にどうすればコンテンツを開発することができるのか。その鍵のひとつは自分たちの内側にある。

商品が売れない。デフレと言われ、低価格のものしか売れないとされながら、ここへきてその低価格商品も売れていない。
イオンが今月の7日に発表した数字では、2010年3~5月の連結決算は前年同期比2.5%の減収だという。デパクロという名称までつけられ、少しだけ上向きの気配を見せた百貨店も、6月の大手百貨店4社の売上高は、全社が前年実績を割り込んでいる。さらに、ユニクロや王将までもが、前年を割り込んだと発表されている。

片や、iPhone、iPadを中心としたモバイル端末、その端末を活用したソーシャルメディアの話題だけは事欠かず、私の周辺でも新しいモバイル端末を活用した新商品やマーケティングツールを投入できないかと頭を悩ます人が多く、「iPhoneアプリで何か作れないか」「iPadを使って何かできないか」といった話ばかりは良く聞く。
それだけ、「売る」ための材料がなく、相変わらず国内消費市場を活性化するためのアイデアを出すために、四苦八苦しているということなのだろう。

各企業の商品開発やマーケティング担当は、本当に大変な日々をすごしている。「モノが売れない」時代に、彼らは何を作りだし、市場に投入すればいいのだろう。
やはり、はやりの端末やネットを駆使し、どこよりも早く話題の商品を活用した先制パンチを繰り出さなければならないのだろうか。

7月12日付の日経MJに、観光立国を目指すという岡山県総社市についての記事があった。「古墳にコーフン」という地域の観光イベントで、山中にある古墳を自転車でサイクリングしながら見て回るというものだ。記事によると、岡山県総社市には古墳が2000以上あり、全国でも有数の古墳集積地であるという。

意外なのは、イベントを企画した主催者さえ、地元では当たり前すぎて、古墳が観光になるとは思っていなかったと語っていることだ。(同記事より)
当事者にしてみればなんのことはないものでも、周りから見れば立派なコンテンツであり、商品化に値するというケースはいくらでもあること。
この例は、「売るものはない」と言わず、自分たちが元来持っているものを再発見し磨きなおせば、そこには何かしらのコンテンツが表れてくるひとつの好例だろう。

もう一例。すでにご存知のかたも多いが、表参道ヒルズに最近出店した、話題の「パスザバトン」というリサイクルショップだ。
丸の内の店舗に続き、最近表参道ヒルズにオープンしたこの「パスザバトン」は、リサイクルショップといっても、いわゆる「古着やさん」「リサイクルやさん」などとは明らかに一線を画す。
当店のWebサイトに、コンセプトとして、「それぞれ培った個人の文化をお互いに尊重しあい、交換しあう。新しいものを創造するのもよいし、既にあるものを大事にするのもよい。既にある誰かの技術、今の私の価値、将来の誰かにとっての大事。」(Webサイトより一部抜粋)とあるように、物を売るだけでなく、その物の持つ文化、背景、を次の世代へと伝える、つまりバトンをパスする、という目的のために運営されるショップだ。

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猪口 真

株式会社パトス 代表取締役

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