「幹部力」=「人を生かす力」

2010.05.26

組織・人材

「幹部力」=「人を生かす力」

今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長

「人を生かす力」は幹部に必要な力の中で最も重要なものの一つです。 競争環境がますます激化する現在、その重要性はさらに増しています。にもかかわらず、実際は人を生かす経営ができず、社員の持てる力を引き出し切れていない企業が多いことでしょう。

私は、この頃「幹部力」という言葉を使っています。

企業の経営幹部として、どのような力が求められているのか?
幹部一人ひとりが自覚を持って取り組んでいる企業は強いのではないかという仮説です。

さて、「人を生かす力」は幹部に必要な力の中で最も重要なものの一つです。
競争環境がますます激化する現在、その重要性はさらに増しています。にもかかわらず、実際は人を生かす経営ができず、社員の持てる力を引き出し切れていない企業が多いことでしょう。

 企業で全社的な教育体系について話していると「現場感のない研修は効果が望めない。OJTで十分だ」という話になります。かといってOJTがうまく機能しているかというと、ただ現場に送り込んで放置状態にしてしまっていることもあります。

 人を生かすには、まず社長と幹部が「メンバーを徹底的に理解する」「一人一人の育成プランを考え抜く」「一人一人の評価にコミットする」という3つのことを実践することが重要です。

 1つ目の「メンバーを徹底的に理解する」では、幹部が社員を知る努力が必要となってきます。
アパレル関連のA社では、幹部研修プログラムに「社員徹底理解研修」を盛り込んでいます。
内容は単純で、入社時期、入社の動機、仕事の志向、出身地、出身校、誕生日、家族構成などのプロフィール、将来の夢などについて、幹部自らが徹底的に頭に入れるというものです。
方法は、管轄部門の社員名だけが書いてある一覧表にそれぞれのプロフィールを埋めていきます。
何度か続けているうちに諳(そら)んじて言えるレベルになります、こうなって初めて「その社員をよく知っている」というベースができることになるのです。

 2つ目の「一人一人の育成プランを考え抜く」では、どのようにすれば社員が育つかを徹底的に考えます。不動産関連のB社では社長と幹部が参加する「人材育成会議」を定例化しています。
これは、幹部が一人一人の育成プラン(上長と幹部が一人一人の強み・弱みと育成ポイントを話し合って作る)を持ち寄って、全員について検討し共有していくというものです。全体で2日半~3日間かかるというが、教育の責任は幹部にあると考えて地道に続けています。

 3つ目の「一人一人の評価にコミットする」では、評価を人任せにしないことが重要です。評価のシステムの中で、幹部の立場は大抵、2次評価者や役員会での最終確認者です。「直属の上長がよく見て評価しているから…」と印鑑を押しているのが多くの企業の実情です。
評価シートは社員の現状がよく現れたカルテであり、情報の宝庫です。あいまいな点などを1次評価者に質問したり、前回からの変化などを理解するつもりで熟読することが重要です。

 これらの3つのポイントに共通するのは、直属の上長(一般的に係長や課長)任せにしないということ。幹部自身が一人一人をよく理解し、育成プランを考え、評価にコミットすることで、人を生かす風土が作られていくのです。

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今野 誠一

今野 誠一

株式会社マングローブ 代表取締役社長

組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。

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