サプライヤ丸抱えにNo! ヨルダン政府、韓国電力公社案を拒絶

2010.05.18

経営・マネジメント

サプライヤ丸抱えにNo! ヨルダン政府、韓国電力公社案を拒絶

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

ヨルダン政府は、現在進めている原子力発電所のサプライヤ選定において、韓国電力公社が韓国政府とともに進めていた提案を拒絶すると発表しました。 韓国は昨年末、アラブ首長国連邦(UAE)より原子力発電所の建設を受注しており、今回もその時と同じ手法でヨルダン政府からの受注を狙っていました。 なぜ、韓国の営業提案がUAEでは上手く嵌り、ヨルダンでは嵌らなかったか、今回はその背景を探っていきましょう。

ヨルダン政府は、現在進めている原子力発電所のサプライヤ選定において、韓国電力公社が韓国政府とともに進めていた提案を拒絶すると発表しました。

韓国は昨年末、アラブ首長国連邦(UAE)より、一貫して建設する手法で、同国の原子力発電所の建設を受注しており、同じ手法で大型契約の連続獲得を狙っていました。(出所:日本経済新聞 2010年5月14日 9面)

韓国の提案は「一括発注」と呼ばれる方法です。発注側から見れば、一社に任せてしまえば、後の細かいことは発注先がやってくれるので、楽ができます。

技術的に複雑で、設計や製造、施工などの各工程間の綿密な擦り合わせが必要な案件では、一括発注が適している場合があります。

原子力発電所の建設は高い技術力が必要な案件のように思われます。また発注側の手間も省けるのであれば、なぜ、ヨルダン政府は、韓国の一括発注の提案を拒絶したのでしょう?

記事によると、ヨルダン政府は、原子炉やタービンなどの基幹設備を分割して国際競争入札を実施することを考えており、この点で韓国側と調整がつかなかったとのことです。

ヨルダン政府が考えていることは「分離発注」です。分離発注は、一つの案件を工程や技術構成毎に分けて発注する方法です。競争活性化やリスクマネジメントの目的で一つの案件を分けて発注する「分割発注」と混同されがちですが、それぞれ目的が異なります。

なぜ、ヨルダン政府は手間が掛かり、技術的にも難易度が高くなる分離発注を考えているのでしょうか?

それは、分離発注が、一括発注に比べさまざまなメリットがあるからです。まず、競争が活性化され、技術・品質的にも、価格的にもより良い取引先を選べる可能性が高まります。一括発注では、設計と製造、施工もしくは、あらゆる技術分野に対応できるサプライヤが求められるので、自ずとサプライヤが大手企業などに限定されてしまいます。しかも、多くの技術分野で専門化、高度化が進む中で、たとえ業界No.1企業であっても、あらゆる分野でトップでいるというのは無理な話で、部分々々でサプライヤに妥協しながらの取引になります。

分離発注であれば、たとえ、中小企業であっても、一つの分野に精通していれば活躍の余地が生まれ、発注側は、より多くのサプライヤ候補の中から選ぶことが可能になります。また、中小企業の中には、一つの分野に特化することで、その分野では大手企業に負けない、いや、それをも凌駕する技術力、品質、価格競争力を有するものが多くあります。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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