経営者が、「幸せ」について突き詰める、ということ

2010.04.22

経営・マネジメント

経営者が、「幸せ」について突き詰める、ということ

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

今年、全米小売業協会の「最も革新的な企業」に選ばれた、靴のネット通販会社、ザッポス。そのCEO、トニー・シェイに、その型破りな経営哲学の真髄を問うインタビューの4回目は、トニー自身の「幸せ観」について訊いてみました。「幸せの意味」を突き詰めることは、これからの経営者の条件かも・・・。

今年6月に発売予定の本、『Delivering Happiness(幸せを届ける会社)』について、ザッポスのCEO、トニー・シェイに訊いてみました。「自分にとって、何が幸せなのか?」を突き詰めない人に、優れた経営はできないのではないか・・・と考えさせてくれたインタビューでした。

石塚:
一般的に言って、社員に対しては「高い給料」、顧客に対しては「良質な商品やサービス」を提供することが幸せにつながると考えている企業が多いように思いますが、ザッポスではそういった「幸せ」の考えに対して異義を唱えていますね。金銭や利益やその他の物理的なものが「幸せ」の促進要因であるとする考え方から、人生や仕事における「意義」の追求や、人と人とのつながりなどを基盤とする新しい「幸せ」の捉え方へと企業が意識を変えていくためには、まず、どのような方策がとられるべきと思いますか。

トニー・シェイ:
人事関連の研究報告書を見てみると、「お金」が社員の満足度の促進要因でないことは数値的にも立証されています。どんなリサーチ結果を見ても、「衣・食・住」といった基本的な欲求が満たされている限り、「お金」を満足度要因のトップに上げる人はほとんどいません。せいぜい四番目か五番目です。だから、「社員の幸せはお金では買えない」というのは、別にザッポスが言い始めたことではなくて、世間的にも立証済みのことなんです。つまり、社員により高い給料を与えることで満足度を上げようというのは、企業にとって、いわば「お金の無駄遣い」なのです。社員が楽しく、やりがいをもって働ける企業文化をつくること、また、個々の社員が、直属の上司とより良く、より近しい関係を築ける環境をつくることに注力したほうが、よりコスト効率的に、社員の幸せを実現することができます。

もうひとつの指標として、「職場にどれだけ友人がいるか」、あるいは、「職場に親友がいるかどうか」は、社員のエンゲージメントや生産性に大きな影響をもたらします。企業のリーダーというのは、そういった職場環境をつくることに努力を注ぐべきで、ただ給料を上げればいいというのは、まったく「怠慢極まりない」経営管理の方法だと、僕は思います。

石塚:
1を最低、10を最高とすると、今、あなたはどれくらい幸せですか。
(注:「幸せ」の研究の一環として、トニーはこの質問をよく人にするそうです。ですから、今日は私が彼にこの質問を投げかけてみました。)

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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