イノベーションの進路を環境に取れ、海運の開発動向をヒントに

2010.04.15

経営・マネジメント

イノベーションの進路を環境に取れ、海運の開発動向をヒントに

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

商船三井の新しい技術研究所が竣工し、4月1日から業務を開始しました。当研究所は、船舶の環境対応技術や運航コスト削減技術の研究を核としていくとのことです。(出所:2010年4月6日 同社プレスリリース) 今回は、環境経営に向けたイノベーションのヒントとして、海運を巡る環境経営に向けた動きを、ご紹介します。

最近の動きで主だったものは、燃費改善による敬エネルギーとコスト削減の両立ですが、幾つかの異なるアプローチがあります。

まずは、塗料によって船と海水の摩擦抵抗を減らすアプローチです。これは、日本ペイントと商船三井の共同開発の取組みですが、船底塗料により塗膜表面に水を捕捉させることで凹凸部分を減少させ摩擦抵抗を少なくするというアプローチです。

日本ペイントによると、燃料消費の大部分は航行時に生じる抵抗で発生し、海水との摩擦抵抗は航行中の船が受ける抵抗の50~80%を占めるとのことです。現行品の摩擦抵抗を減らす機能塗料でも従来型の防汚塗料よりも約4%の燃料消費量削減が期待できますが、今回の共同開発では、それに約6%上積みし、約10%削減を目ざすとのことです。(出所:2010年1月25日 日本ペイント プレスリリース)

塗料に機能を持たせて敬エネルギー、敬資源を図るというアプローチは、既存の設備がそのまま活かせるため、海運以外の多くの分野でも採られています。これは、今後も様々な分野で応用が利きそうです。

日本郵船が採ったアプローチは、船底に空気を送ることで船と海水の摩擦抵抗を減らすというものです。空気を船底に送り込み船と海水の摩擦抵抗を減らす空気潤滑システムをつけ、燃費効率を上げるというものです。

もっとシンプルなアプローチとしては、川崎汽船が2010年1月に発表したもので、「減速」するという方法です。 速度を上げると、船底の抵抗はそれ以上に悪化するのを逆手に取ったものです。今日から実現できる方法ですが、経営やSCMでスピードが重視される現在で、荷主の理解がどれだけ得られるか。コンテナ船が現在余っているというのが、このアプローチの背景にあるようです。ただ、これから環境経営が普及してきた時に、急ぎでないものを、ゆっくり敬エネルギー、低価格で運ぶというオプションが求められるという可能性はあります。

運行技術で敬エネルギーという観点では、ウェザーニューズが面白いサービスを提供しています。海運会社向けに、海上の気象情報を使って、最も燃費のかからない航路と速度配分を提案するというものです。例えば、太平洋航路で日本から米国に向かう場合、同社が提案した航路・航行速度をとれば、1航海につき50万~200万円程度の燃料代を節約できるとのことです。(出所:2009年12月2日 日本経済新聞)

一口に、海運の燃費改善といっても様々な切り口があるものです。どれが正解ということでなく、こうした様々なアプローチを模索することから、ブレークスルーにつながるイノベーションを生まれるものです。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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