人の成長機会を奪うような「やさしさ」はいらない

2010.03.05

組織・人材

人の成長機会を奪うような「やさしさ」はいらない

新田 龍
株式会社ヴィベアータ、株式会社就活総合研究所 代表取締役

相手に嫌われたくないのか、良かれと思ってやっているのか・・・ 部下や新人に対してやたらと気を遣い、理解ある態度をとろうとする人がいます。 しかし、このとき本当に必要な「気遣い」とは…

とある人事育成担当者から、このようなお話を聴きました。 入社して間もなく「辞める!」と主張する社員との会話です。

担当者「なぜ辞めようと思ったのか」
社員 「会社に人を育てるという姿勢がないように感じる。仕事も教えてくれなかった」
担当者「聞いても教えてくれなかったのか?」
社員 「聞けば教えてくれたが、パワハラもひどかった」
担当者「パワハラとはどんなことか?」
社員 「新人なんだから早く出勤しろ、雑用しろ、言われる前に察して行動しろ、など、
理不尽なことを言われた」

このエピソードを「確かにパワハラだ!」と捉えるか、「何バカなことを言ってる!」と思うかで、世代間ギャップが明らかになるかもしれませんね。

ちなみに筆者は30代前半なので、社会全体で見たらまだ「若手」に属するのかもしれませんが、さすがにこのお話は異様に感じました。 

昨今の学生や若手社員を相手に話していて共通に感じるのは、「合理的」で「納得」できることならやるが、そうでなければ、そこに「意味」が見出せなければやらない、という姿勢ですね。


●「何のためにやるの?」

「この仕事に何の意味があるのか?」という疑問は、「何のために勉強するの?」と質問する小学生に似ています。 彼らは「教育」や「仕事」といったものを、何らかの商品やサービスを購入するのと同じようなものとカン違いしてるんでしょう。 

仕事をしたり、教育を受けるといった行為と、 商品やサービスを買うという行為の根本的な違いはなにか。 その効果が、「すぐにわかるか」「後からわかるか」の違いです。 

たとえばモノやサービスの場合、どんな機能や効果があるかを分かって買うし、そのメリットは実際に使うことで比較的早くにわかりますよね。

一方、仕事や教育は違う。 そもそも、それによってどんなことが得られるかは、ある程度の時間が経ってからでないと分からないものです。 目の前の仕事は、一見つまらないものかもしれない。 でもそれが、将来の自分に大きな影響を及ぼしていると考えるとどうでしょう。

筆者自身、新入社員時代に経験した激烈な仕事が、10年を経た現在になってようやく、コンサルティングのアイデアや文章という形になって実を結んだと感じています。 それくらいスパンが長いものだという前提で、目前の仕事や出来事をどう捉えるかという視点が重要ではないでしょうか。

一見理不尽な要求、日々の仕事における継続的なプレッシャー、話や波長が合わない人とのコミュニケーション。 いずれもまさに「なんでやる必要があるの?」と感じられることばかりですが、全ては「仕事において、まさに同じような場面に遭遇したときの免疫」になるんですよね。 

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新田 龍

新田 龍

株式会社ヴィベアータ、株式会社就活総合研究所 代表取締役

キャリア教育プロデューサー ブラック企業アナリスト 大学講師 HRMストラテジーコンサルタント JCDA認定キャリアデベロップメントアドバイザー 日本キャリア開発協会、東京商工会議所会員 早稲田大学卒業後、東証一部上場企業で経営企画、事業企画を経験。 その後人材サービス大手企業にてコンサルタントおよび人事採用担当等を歴任。 現在は人事戦略とキャリア教育に関するコンサルティング会社を2社経営。

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