起業講座１：国内最大のマイクロストックフォト『PIXTA』（１）

・ お金を稼ぎたい
・ 評価されたい
・ 自由に生きたい
・ 使命感

「私の場合、単にお金を稼ぎたければ、あのまま健康グッズのECをしていれば良かったのですが、お金にはまったく興味がありませんでした。」

「自分の人生としての本当の望みは何なのか考えるようになりました。インターネットというものを最大限に活かした、自分にしかできない事業を立ち上げて大きくしたい。もっと自分にしかできない価値を生み出して、周りから評価されたい、という思いが強かったのです。」

「インターネットを活かすと、収穫逓増（※1）モデルが実現できます。売上が伸びても費用はさほど増えず利益率が高まるモデルの実現です。そこで、在庫は持たずにマッチングできるサービスをつくろうと考えました。」

※1 収穫逓増（の法則）
特定の生産要素の投入量を追加的に等量ずつ増加していくとき、追加的に得られる産出量の増分が次第に増加するという法則。提唱者としては、スタンフォード大学のブライアン・アーサー教授が有名。

どのようにして『PIXTA』は生まれたのか。
今度こそ人生を賭けられるような事業をしたいと、下記のような条件を設定したと言う。

・　WEBサービスであること。
・　楽天やヤフオクのような、不特定多数を結びつけるマーケットプレイスであること。
・　売上が伸びるほど利益率が向上する収穫逓増の事業であること。
・　市場規模が一定以上あること（10%のシェアで数十億円以上の売上になる分野）。

「半年ぐらいひたすら考え続けました。とにかく、いろいろなWebサービスを研究していましたが、ちょっと良いアイデアが浮かんでも否定的に捉える自分がいて、毎日3時間ぐらいは何をやるか考えていました。喫茶店で夜中まで、独りぼぅっとして過ごしたこともあります。まさに袋小路に陥っていたのではないかと思います。」

■驚きから得られた気付き
あるとき、アマチュアカメラマンの写真投稿掲示板サイトを発見した。古俣氏は、投稿された画像を見て、そのクオリティの高さに非常に驚いたと言う。

「アマチュアとは言え、これなら売れるのではないかと思ったのです。関心を持ち、さらに調べてみると、デジタル一眼レフカメラが普及したことによって、ハイアマチュアと呼べるような、プロ顔負けのカメラマンが急増していることが分かりました。その受け皿になるようなWEBサービスを立ち上げてはどうだろうかと発想しました。」

最終的に5個のアイデアに絞った。しかし、どれも壁を感じる。多くのWEBサービスは、1強総取りという図式になる。大きく立ち上げて、一気にシェアを取らないと勝てないのではないかと考えたのである。ゼロから自分だけでやっては勝てない。写真画像に関わるサービスということもあり、システムやインフラ、それを整備するための資金の課題もあった。考えたあげく、ガイアックスの上田社長に4年ぶりに相談した。また、資金調達をどのように行うかというノウハウを得るべく、PE&HRの資本政策セミナーに参加した。その後、既存の会社を兄に任せ、2005年8月にオンボード（現ピクスタ）を設立する。

ガイアックスからの支援やPE&HRからの出資等、必要な準備を整えるのに約9ヶ月を要した後、2006年5月『PIXTA』がオープンしたのである。

～起業講座１：国内最大のマイクロストックフォト『PIXTA』（２）～に続く