貴乃花がダイナマイトで学ぶ「禁じ手」

2010.02.03

組織・人材

貴乃花がダイナマイトで学ぶ「禁じ手」

木田 知廣
シンメトリー・ジャパン株式会社 代表

「奇跡の大逆転」とでも言うべき理事当選を果たした貴乃花親方。 朝青龍関の暴行疑惑や体罰問題に揺れる大相撲を理想の姿へと近づけるための着実な一歩だが、むしろ本当の戦いはこれから。 改革のカギは、年末恒例の格闘技イベント「ダイナマイト」にあり。貴乃花関が「参戦」してでも学びたいその秘密とは…

まずは、貴乃花親方、おめでとうございます。

前回のコラム、「破門のピンチに陥った貴乃花を救う『GTOの法則』」で紹介した7人の支持者に加え、プラス3人で10票を獲得して見事理事に当選です。

「GTOの法則」読んでくれたかどうかは分かりませんが、「明るい派閥運営」の成果が出たといえるでしょう。

報道を見るに、投票において匿名性が保たれたのがカギになっていそうですね。表だっては支持を表明できないけれど、「影ながら応援するよ」という人がいたようで、これまた企業変革を実現するための社内政治のマネジメントと近いものを感じます。

とはいえ、貴乃花親方は、10人いる理事の一人。「理想の相撲協会」を実現するための戦いはまだつづくのですが、そこで参考にして欲しいのが年末恒例の格闘技イベント「ダイナマイト」。

川尻達也選手や青木真也選手の活躍を目にした方は多いと思いますが、彼らのバックボーンとなっている競技、修斗ってご存じですか?

興行性・競技性・安全性のバランス


実は、修斗はダイナマイトに限らず日本のトップファイターを輩出していますが、そのカギは「三権分立」にあります。

というのは、格闘技系の競技というのは、プロスポーツの要素である「興業性」、「競技性」、「安全性」をバランス良く実現するのが難しいのです。

興行性を高めようとすれば八百長行為などで競技性がないがしろになりかねないし、先鋭的な競技を指向すると選手の安全が守れない。かといって、安全すぎる格闘技なんて誰も見たくはなくて興行として成り立たない…

というジレンマを解消するために、3者を担当するのに別々の組織をおいたところに修斗の特徴があります。すなわち、興行を担当するプロモーター、競技としての健全さを維持するコミッション、そして選手の安全も含めてライセンスなどを管理する修斗協会、です。

そして、時には利害が相反する組織がお互いに「チェック&バランス」を行い、全体として興業性・競技性・安全性が成り立つような「仕組み」を作り込んだことこそ、修斗がトップコンテンダーを輩出し続けられる秘訣でしょう。

このような仕組みが中堅からアマチュア層まで広がる巨大な競技ピラミッドを生み出し、だからこそ、そのトップにいる青木選手、川尻選手は他の競技では届かない高みまで自分たちの強さを引き上げられた、と言えますね。

翻って、相撲協会。

興業性・競技性・安全性に加えて、本質的には「宗教性」まで体現しなければならない競技を司るのが一つの組織体だけではちょっと心配です。もちろん、日本相撲協会も審議会を設けて広く世間の意見を聞くなど工夫をしているとは思うのですが、どうしても「チェック&バランス」がはたらきにくそうです。

そういう組織ではいつの間にか自己保存が優先されて社会的意義を失い、やがては死に至ることは、最近で言えばJAL<日本航空>の例でも証明されたと言って良いでしょう。

なので、貴乃花親方も、個人として改革を訴えるのも良いのですが、それだけだと個人一代限りで終わってしまう可能性があるし、十分ではないと想像します。むしろ、永続する「仕組み」として健全さを保ち続ける組織を作り込むことこそが、不惜身命で頑張るべきことかもしれません。

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木田 知廣

木田 知廣

シンメトリー・ジャパン株式会社 代表

経営大学院立ち上げという類まれなる経験をした「人材育成のプロ」

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