「マーケティング観察眼」のススメ

2010.01.19

営業・マーケティング

「マーケティング観察眼」のススメ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

マーケティングセンスを高めるために必要なことは何かと聞かれれば、その一つは間違いなく「観察力を高めること」だといえる。さらに、観察したものを自分なりに「解釈する」。そんな練習のオススメだ。

 まずは「ネタ探し」だ。常に「アンテナ」を立ててそこに何かが引っかかる状態にしておく。そして街を歩いてみるのもいい。もしくは店舗内を観察するのもいいだろう。

 コンビニエンスストアに注目してみよう。ヒットを狙う商品がしのぎを削る店内はネタの宝庫だ。また、コンビニ自体も過当競争が進み、店舗の統廃合やリニューアルが進んで新しい動きが活発だ。新しいタイプの店舗では、店内で商品を飲食できるイートインコーナーを併設した店舗の増加に気がつかないだろうか。1980年設立当初よりイートインメニューを売り物としているミニストップだけでなく、ファミリーマートやナチュラルローソンなど、他チェーンでも展開が目につく。
 イートインコーナーで飲食をしている消費者の姿に注目しよう。ランチタイムなどが賑わっている。そこで、どんなものを食べている人が多いだろうか。オフィス街のコンビニで筆者が気になったのは、カップスープとおにぎり、総菜、サラダなどを組み合わせて食べている来店客の姿だ。若年層、中年、男女問わず幅広い客層がそんなメニューをランチにしている姿が見受けられた。商品の棚を見ると、総菜のラインナップ充実はコンビニ業界のしばらく前からのトレンドだが、カップスープの棚に新商品が随分増えていることがわかる。特に、ただスープではなく、パスタや穀類、春雨などの炭水化物が一緒に入った低カロリータイプのものが充実している。

 さて、そんなコンビニ・イートインコーナーの昼下がりの風景を観察したら、少し情報を補完してから「解釈」をしてみよう。
 カップスープの棚の新商品は、果たして本当に増えているのだろうか。今後も増えるのだろうか。ちょっと、「Google先生」の力を借りよう。「2010 カップスープ 新製品」というクエリで検索をしてみる。 約 50,300 件がヒット。検索上位には、アサヒフードアンドヘルスケア、クノール、日清食品、永谷園など各社の発売予定の新商品がズラリと並ぶ。今後の競争激化が予想されるホットな市場であるのは間違いなさそうだ。

 では、なぜ、炭水化物入りカップスープは売れるのか。ここから先は「解釈」もしくは「論理的妄想」の世界を展開しよう。
 まずは商品価格に注目だ。「カップスープとおにぎり、総菜、サラダなどの組み合わせ」は、価格的にはほぼ確実に500円、ワンコインを下回る。カップスープ約150円、おにぎり約120円、サラダ約150円。計420円也。昼食予算の削減を図る傾向が強い消費者にとっては頼もしい存在だ。昨今の経済環境を考えれば合理的な選択であるといえる。
 他に理由は考えられないだろうか。「価格」以外に明確な要素。例えば、同じ数値的なものを考えるなら、各商品の「カロリー数」。「ダイエットのために低カロリーな“そば”にしようと思ったけど、つい、“天ぷらそば”を食べちゃった!」なんて経験、ないだろうか?で、それは何キロカロリーあるかご存じだろうか?意外とわからないだろう。実は約480kcalである。コンビニ棚の商品には、ほぼ間違いなくカロリー数表示がされている。カップスープ約100kcal、おにぎり約90kcal、サラダ約90kcal。計280kcal。ちょっと低カロリーすぎる気もするが、わかりやすいカロリー数でダイエットに最適だ。
 イートインコーナーの人々を見ると、昨今、ガッツリ系のメガ盛り弁当や、大盛りカップ麺を食べている人より、ダイエットメニューの人がよく見受けられる。そして、筆者のご同輩である中年男性諸氏もエースコックの「はるさめヌードル」などを食している。
 「モノゴトは、大きく一方に振れると、その反動でさらに反対に振れる」。これは、筆者の持論である。大食いブームやメガメニューが人気を博したのは、時を同じくした健康ブームや、その後のメタボ検診導入の反動ではないか。では、それが沈静化した今日、また、反対に振れて健康・ダイエット志向が高まるのも不思議ではない。

 いかがだろうか。街歩きで見かけたコンビニの変化。そしてそこで昼食を摂る人々とそのメニュー、商品。その「観察」から「解釈」をしてみた一例だ。「こじつけ」「屁理屈」と思われるかもしれない。しかし、これは「練習」なのだ。
 とにかく「マーケティング観察眼」を働かせて、「屁理屈でもいいから理屈をこねてみる」。そんな練習を繰り返すと、いつか、いつもと違った景色が見えてくるはずだ。それが、筆者からのオススメである。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

フォロー フォローして金森 努の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。