M&Aの現場での交渉上手な経営者にある共通要素を紹介
M&Aの現場における交渉というと、メディアによる「M&A=敵対的買収」というイメージが強いせいか、ハードな交渉を想像する方が多いかもしれません。しかし、中小企業同士のM&Aや、弊社が専門とする「小規模M&A」や「店舗M&A」のほぼ100%が友好的なM&Aなので、そのような敵対的な交渉というのは滅多にありません。交渉人となる売り手、買い手の経営者の方々は、事前に交渉相手のプロフィールや状況を把握しておかないと、間違った交渉態度で臨んでしまうなど、交渉に失敗してしまう可能性があります。これまでM&Aのアドバイザーとして、たくさんの案件を見届けてきましたが、交渉上手な経営者というのは、いくつかの共通の要素を持っています。まず第一に、謙虚であるという事。特に買い手の場合は、買ってやる的な大柄な態度で臨むのはもっての他、売り手となる経営者に対して敬意を払い、売り手経営者が手塩にかけて育ててきた従業員や事業を引き継ぐわけですから、おおげさですが「あなたの大事なお子さんをお預かりします」といった謙虚な態度が必要です。売り手の場合には、引継ぎに対しての協力的な姿勢を見せたり、条件譲歩をする事で、交渉相手との距離が縮み、良い関係が築かれ、結果的に売り手・買い手の双方にとって、良い条件でのM&A成約となる事が多いです。第二に、基準値や譲れないポイント、BATNA(Best Alternative To Negotiated Agreement)といわれる合意が成立しない場合の最善策を設定し、本来の目的を見失わない姿勢が必要です。譲れないポイントに関しては、基準値を知ることが大切です。例えば、自分ではこの金額以下では譲れないと思っていても、それが業界では適正金額以上の事もありますので、アドバイザーの意見も聞いて、業界の常識や市場価格をリサーチしておきましょう。交渉の本では、「ハーバード流交渉術 イエスを言わせる方法 著:フィッシャー&ユーリー 三笠書房」や「影響力の武 著:ロバート・B・チャルディーニ 誠信書房」がお薦めです。
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2009.02.10
2015.01.26