経営実態に合った「就業規則」への見直しを

2009.11.25

組織・人材

経営実態に合った「就業規則」への見直しを

荒川 大

改正労働基準法の施行が来年4月に迫っています。この機会に「割増賃金(努力義務を含む)」および「時間単位年休」の取扱についての会社スタンスを定め、就業規則を改定し、労使協定締結までを実施しなければなりません。

◆ 就業規則見直しの準備をはじめるにあたり

改正労働基準法に対応する場合、月60時間を越える割増賃金(超過勤務手当)について適用除外となっている企業規模(中小企業)であっても、「時間単位年休制度」の扱いや「限度時間超の割増賃金引き上げ(努力義務)」については企業規模によらず適用されるため、就業規則の内容見直しが必要です。

特に、現在は労働組合を支持母体に持つ民主党政権であり、また年末の雇用維持や来年2月頃から切れ始める雇用助成金なども絡み、マスコミ等では「労働問題」を特集した記事などが増えていくでしょうから、まずは自社が大企業なのか、中小企業なのか、そして就業規則のどこを見直す必要があるのかを確認して、無用な混乱を避ける準備が必要でしょう。

「労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)」
http://www-bm.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html

◆ 就業規則見直しのポイント

次に、現在の就業規則に関する「賃金」や「手当」の項目について確認を行う必要があります。

就業規則を見直す機会はそうそうありませんから、この際、経営状態を反映した賃金制度にしていくことも考えられます。もちろん、労働基準法では「賃金」の過度の減額は禁じていますが、それにも条件次第では可能となりますので、法令に対応しつつ、会社業績に貢献した社員への見返りを重視する制度へシフトしていくひとつの機会にできるものと考えられます。

1) 賃金を構成する給与および手当の確認
2)業績に連動した賃金変動に関する事項の確認
3)固定手当と変動手当のバランスの確認
4)割増賃金(努力義務)および「時間単位年休制度」の記載

但し、制度の変更については労働基準法により「不利益変更」の禁止が定められていますので、十分な注意が必要です。

安易に社内で検討し実行しても、労働基準監督署が受理しなかったり、社員のモチベーションダウンやモラルダウンから、さらに業績悪化を招くこともあります。
社内には労働組合が無いからと無理に実行してしまって、様々なユニオンなどが従業員のサポートに入ったり、労務問題を扱う弁護士が問い合わせてくる場合もありますので、処遇(賃金や解雇)の扱いは慎重に行わなければなりません。

◆ 就業規則を見直したら、36協定および労使協定を締結

今回の改正労働基準法では、労使協定が重要な役割を担っています。
この前のコラムで紹介した、大企業で「割増賃金を25%のままにする方法」についても、この労使協定の扱いがポイントとなります。

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