企業の開業率、廃業率に見る雇用創出の行方

2009.09.10

経営・マネジメント

企業の開業率、廃業率に見る雇用創出の行方

洲崎 智広

創業支援の立場から経済を活性化する新興企業、新興事業の可能性を探るレポート

総務省の調べによると、企業の開業率、廃業率の推移は、91年以降廃業率が
開業率を上回る状況であります。

具体的には、(少し古いデータですが)2001-2004年の廃業率は
6.1%、これに対して、開業率は、3.5%しかありません。
ちなみに、米国ですと、開業率13-14%弱台をキープ、廃業率は12%台を
キープし、かろうじてですが、開業率が上回っています。
数で言うと、2004年の米国の開業数は58万900件、廃業数は57万6千件です。

単純比較は一概にできないものの、米国は日本に比べると事業欲旺盛で
その分消えていく企業も多いものの、ほんのわずかであるが生き残っている企業が多い、とみて取れます。
全ての開業者が雇用を創出しているとは限りませんが、少なくともこの中から
成長発展していく企業も当然あるわけで、そのような意味においては、新しい
雇用を増やす機会が、米国の社会に根付いていることが、考えられます。

ちなみにこれも興味深いのですが、ではそれ以前の日本はどうだったか、というと統計が始まっている81年は、開業率7.2%、廃業率3.7%です。
ご承知の通り、日本経済は右肩上がりでしたので、この数値自体不思議でない
のかもしれませんが、雇用創出にはそれなりの貢献があったのでは、と、うかがえます。(それでも、今の米国は、過去の高度成長期の日本よりも、事業欲旺盛と取れるのかも?)

バブル経済崩壊後以降、ずっと日本はやや下を見ながら歩いてきたのでは
ないでしょうか?

少しうらやましいのは、リスクを取ってでも積極的に起業、創業する人々が
かなりの確率で米国が多い、ということです。
これは単純に雇用創出だけでなく、経済そのものを活性化させる要因と
なります。

皆さんお使いのgoogleは、創業は98年の9月7日、つまりは、まだ丸11年しかたっていないのです。
しかし、従業員数で世界中に1万人以上いるわけですから、これは経済にとっては、ものすごい効果です。

日本企業もかつて(?)、世界に通用する企業、例えば戦後46年に創業したソニー、同46年に創業した本田技研、(トヨタはいうまでもなく)、があるのですが、つい最近の企業で世界的に成功している日本企業というのは、例えば何でしょうか?
仮にここまでの規模でないにしても、新しい産業、新しい事業を創出するというのは、雇用創出にとどまらず、国、あるいは、国を越えて大きく経済を活性化させる原動力となります。

今、元気のない日本にとって、新たな産業、事業を起こすことは経済の付加価値を創出し、雇用も増える。そういった意味では、新興産業の創出、事業の創出は急務でないのだろうか、そうでなければ、さらに厳しい現実が来ることになるのでは、と考えます。

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