遊び駒、離れ駒を作らない。

2009.09.03

組織・人材

遊び駒、離れ駒を作らない。

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

人材を揃えれば、勝てるというものではない。

「将棋の駒のように扱う」というと、人の感情を無視して、モノのように考え、安易に扱うといった意味合いですが、将棋で駒を扱うのは決してそんなに安易なことではありません。同じ戦力を持って交代で指しているのに大差がついてしまう理由は、駒を活かしている度合いが違うからです。活かすためには、それぞれの駒の特性を知る、駒の働きを最大限にする、駒同士の関連を強くすることが大切なのですが、これがなかなか難しい。

「銀が泣いている」というのは坂田三吉が大きな対局の途中で吐いた有名な言葉で、前に打った「銀」が戦いのポイントから離れて全く働いていないことを嘆いたものですが、手持ちの戦力を遊ばせたら負けということを表わしています。働いていない、遊んでいるというのは、駒の特性が活かせていない、戦いのポイントに集まっていないという状態で、そういう遊び駒をなくす、減らすことが勝負のコツです。

また、駒の関連が悪い状態も良くありません。固くまとまっている、支えあっている関係を作ることも大切で、そうでないバラけた状態の駒のことを、離れ駒と言います。こういう駒は、働きが悪くなりがちな上に、弱点として狙われやすく、取られて相手の戦力を増やしてしまうことも多くなります。

組織が活性化しているというのは、メンバー全員が各々の特性を活かしている状態と言えます。将棋に学ぶなら、リーダーはまず、①メンバーの特性を把握せねばなりません。次に、②その特性が最大限となるような場や役割を与えなければなりません。そして、③メンバーやその特性を上手に関連づけなければなりません。

四番バッターを集めても勝てるわけではない理由は、ここにあります。採用だけで強い会社にはなれない理由は、ここにあります。遊び駒、離れ駒を作ったら負けるということです。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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