報連相が出来ない訳。出来ても駄目な組織。

2009.07.09

組織・人材

報連相が出来ない訳。出来ても駄目な組織。

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

報連相が出来ないのは何故か? できればOKか?

若手時代に叩き込まれることの代表格は、マナーと並んで「報連相」。ただしこれは、若い人たちにとってそう簡単なことではありません。一つには、報連相をする対象としての関係者に対する理解が浅いから。二つ目は、状況変化など起こっているコトの軽重を判断しにくいからです。

担当している仕事のこれまでの経緯や、社内外の関係者、それはどのような人達で・・・、という理解をしていればしているほど報連相をしやすくなる訳ですが、これには一定の期間や経験が必要で、「報連相の技術」を学べばよいという問題ではありません。同様に、コトの軽重に関する判断力を高めるにも経験が重要で、効果的な報連相ができないのは、彼ら若手社員にとってある程度仕方のないことと言えます。

しかしながら、彼らが「報連相」をできない理由はもう一つあります。それは彼ら自身の問題ではなく、組織に「報連相を通じて仕事や職場を良くしていこう」「報連相によってより大きな成果を上げよう」という意識が低下してきていることです。具体的には、次の3つの意識が低下した組織には、報連相が生まれにくく、若手もそれに倣っているだけと考えられます。

一つは、職場の業務改善の意識が低ければ、済んだことを流す人が多くなって「報告」という言動が減っていきます。二つ目。職場に協働するという意識が低ければ、状況・情報を専有する人が多くなって「連絡」という言動が減っていきます。三つ目。職場の納期意識、特にクオリティーに対する意識が低ければ、こだわらない人が増えてきて「相談」という言動が減っていきます。

このようなカルチャーにおいて、若者にだけ報連相は大事だ、報連相をしろと強要するのは可哀想というもの・・・と感じます。報連相ができない・・・とお嘆きの経営者は多いと思いますが、解決策は報連相の技術を学ばせることではなく、カルチャーの見直しかもしれません。

一方、「報連相」は盛んに行われているけれども、どうも実りが少ない、成果が出ないという組織もあります。伝えることが仕事、まるで伝書鳩のような人、伝言ゲームを楽しんでいるような人がたくさんいて、報連相はしっかりと行われているけれども、仕事の遂行、目標の達成には大した当事者意識が感じられないという組織です。

パスをもらうまでは何もしてなくて、手持ち無沙汰を決め込んでいるのに、自分にパスが出た瞬間から嬉々として報連相をやっている人。パスをもらってもそこでどうするか考えずに、とにかく関係者に伝えまくってそれが仕事だと思っている人。でもこういう存在が結構経営者から見れば安心で頼もしく見えるようなので、面白いものです。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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