世界最大規模の野菜工場が示す食の未来(2)

2009.07.07

開発秘話

世界最大規模の野菜工場が示す食の未来(2)

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

完全密閉型では世界最大級の野菜工場が、福井県美浜にある。運営するのは京都のベンチャー、株式会社フェアリーエンジェルだ。同社の活躍は政府の目にも留まり、これを機に野菜工場支援策として150億円の補正予算が組まれた。世界の食の未来を考える同社の使命感に迫る。

立地を選ばないとはどういう意味か。例えば農業生産など絶対に不可能と考えられてきた不毛の砂漠地帯でも野菜工場を造れるということだ。

「砂漠は意外に好適地となる可能性を秘めています。なにしろ太陽が激しく照りつけるということは、太陽光発電で電力をまかなえる可能性が高いわけです。問題となるのは水の確保ですが、我々のプラントでは水を循環利用するので常時補給が必要というわけではありません」

もちろん砂嵐対策など考えるべき課題はまだほかにもあるだろう。しかし、ここは可能性の大きさに注目すべきだ。もし今後、世界中で膨大な面積を占める砂漠で野菜を作れるようになればどうなるか。食料問題の解決に明るい兆しが見えてくるはずだ。

「南極や北極でも地盤さえ確保できれば、工場を建てることはできるでしょう。しっかりしたベースがあるという点では、タンカーに野菜工場を造るアイデアもあります」

少なくとも電力に関しては、メドがつき始めているようだ。供給源と期待されているのは太陽光発電である。クリーンエネルギーの第一候補・太陽光発電の世界ではいま、世界中の名だたるメーカー、ベンチャーが入り交じって開発競争にしのぎを削っている。いずれ量産段階に入ってくれば、大幅なコストダウンと効率アップも期待できるだろう。

「LEDを使えば照明用の消費電力も、蛍光灯の10分の1ぐらいにまで抑えられます。ヒートポンプが進化すればエアコンの効率もまだまだ上がるでしょう。そもそも完全密閉型ということは、外気温の影響を受けないので温度コントロールを効率的にできますから」

ミニマムではレストランの店内に設置できるぐらいコンパクトなサイズでの展開もある。一方ではフェアリーエンジェル社が持つような大規模プラントまで、野菜工場は実にさまざまなスケールでの展開が可能だ。とはいえ、もう一つ大きな課題が残っている。すなわち、採算性である。この難題をフェアリーエンジェル社はどうやって克服するのだろうか。

⇒次回「野菜工場ビジネスを世界に」へ続く(全四回)

『株式会社フェアリーエンジェル 関連リンク』
株式会社フェアリーエンジェル:
http://www.fairyangel.co.jp/index.html
京のアグリベンチャー経営者ブログ:
http://ameblo.jp/satoshiinoue

てんしの光やさい
天使の花屋
天使のカフェ Angel's Cafe

◇インタビュー/構成:竹林篤実 
◇撮影協力,フォトグラファー:㈱エムツーフォト 代表取締役 宮田昌彦  

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