「踊る会議」こそが最高のコミュニケーションの場となる

2009.06.15

組織・人材

「踊る会議」こそが最高のコミュニケーションの場となる

小倉 広

「実りのある会議ができない」 そう悩む方も少なくはないのでしょうか? 時間だけが過ぎて行く。いつも決まった人が発言する。何となく決まってしまい、後になってこれが違うなどと反発が上がる… そんなことなら会議を廃止しよう。 いえいえ、会議はなくてはなりません。 真剣な会議からは様々なものが生まれます。

「恥ずかしながら我が社の会議はいつも、時間ばかり食って何も決まらない。
オグラさん、こんな会議ならもう廃止したほうがいいと思いませんか?」

顧問先A社の幹部会議に初めて出席した私に、社長が苦々しく打ち明けます。
ダラけた雰囲気に同様の苛立ちを感じた私は、原因を探るべく観察を始めました。そして会議の進め方に三つの致命的な問題を発見したのです。

一つ目の問題は、話がどんどん飛散し本題からそれてしまうことでした。
稼動悪化の原因究明が本題なのに、気がつけば主任のヤル気に話が移り、はたまた人事部の採用問題になる。
延々と話がそれたまま本題へは戻らず、参加者は疲れ果て、何も結論が出ないうちに議題が次へ移る、というパターンです。
本来進行役はこれを正し、それた議論を本題へと戻さねばなりません。

二つ目は、せっかく核心をつく話題が出てもそれが流されてしまうこと。
世の中の多くの会議は「何を言ったか」に重きは置かれず「誰が言ったか」が重視されがちで、A社もその罠に陥っていました。
進行役は重要な意見にライトをあて、皆がそこへ注目するよう誘導する責任があります。

三つ目の問題は、やる・やらないが曖昧なまま決定されない点です。
議案が決裁の場合であれば承認・却下・再提出、いずれか三つに一つ。
必ずどれかを選ばなければなりません。
また議案が成功事例の共有であったとしても結論は出すべきで、例えばアルバイト・シフト設定で効率的な方法が紹介されたとした場合、以下の三つから一つを選ぶ必要があります。
①特殊な例として参考にしない
②汎用的な有効策として他部署もアレンジし真似するよう奨励する
③非常に有効な策として全部署統一ルールとし運用する
…優れた進行役は挙げられた事例に対し一つずつ①②③のジャッジをし、良いアイディアを組織へ埋め込んでいきます。

優れた組織、成長する組織には必ず「学習する遺伝子」が存在します(Learning Organization)。
ここで言う学習とは単なるお勉強ではなく、現場に眠る実践的な知恵・ノウハウのことで、多くは事例の形で組織に共有されます。
しかし効果的な事例もその場限りで終わらせてしまう企業がほとんど。
組織に有益な遺伝子として埋め込む(Knowledge Management)企業はごくごくまれであり、それができる企業とできない企業との間には成長において致命的な差がつくのです。

「会議を無くすなんてとんでもない」

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