改正労働基準法に対応する就業規則のあり方

2009.06.11

組織・人材

改正労働基準法に対応する就業規則のあり方

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

時間外労働が月間60時間を越えた分は、50%の割増が義務付けられる「改正労働基準法」ですが、就業規則や賃金規程を書き換えただけではタダの人件費UPにしかなりません。

時間外手当を決めるのは社員の年収から算出される「時間単価」です。
そして、時間単価を決めているのは「基本給」となります。
手間はかかりますが、年俸制を導入している企業であれば、今後の人件費管理のために「不利益変更」とならない範囲での月額報酬制への逆戻りも考えて良い時期かもしれません。

さて、企業側からすると、就業規則を変更する機会はそうそうありません。単に「時間外労働」と「基本給」の項目を見直すのではなく、現在の経営方針やビジョン、社員の労務管理のスタンスを盛り込んで、以下の項目までを見直して頂ければと思います。

 ・ 労働の定義と労務管理手法(雇用形態別による就業規則の作成)
 ・ 残業の要件(残業代が払われるために必要な働き方を決定)
 ・ 有給休暇の取扱(時間単位年休制度)
 ・ 解雇の要件(解雇となる要件/条件を詳細に記載)
 ・ メンタルヘルス対策及び休業条件
 ・ 新型インフルエンザ発生に伴う休業規程(社員の定義を含む)
 ・ 改正育児介護休業法への対応(準備段階)

就業規則の変更については、自社で実施しても、社会保険労務士に依頼(1回20万円~50万円くらい)しても構いませんが、必ず変更しなければならない状況にあって、文言の変更だけでは、単純に人件費UPにしかなりません。

できれば、就業規則の文言や時間、残業代支払い根拠となる算定基準の書き換えだけではなく、会社としての人材管理のスタンスがイメージできる規則・規程の見直しを行って頂きたいところです。

書き換えのサンプルは、各社の人事制度が異なり、基本労働時間や基本給の決め方が異なるため、どれが良いかとは言い切れない部分もあります。まずは、現存の就業規則をチェックして頂いて、必要があれば契約されている社会保険労務士を活用して頂ければと思います。

人事コンサルタントの活用などを考えていたり、すでに顧問としていらっしゃる場合には、今回の法改正によるダメージを少なくするためにリスクマネジメントの観点でアドバイスを受けるようにお奨めしています。

今回の法改正による会社への財務的影響を小さくするためには、就業規則の改定に合わせて労働時間管理を徹底することにより、長くダラダラ「居る」社員への時間外手当を削減し、短時間で頑張って「成果を出す」社員への報酬を厚くすることが必要です。

しかし、その改正プロセスを管理できなければ、特に「居る」だけの社員から、単なる賃下げに向けた変更としてしか受け取られない可能性もありますので、慎重かつ確実な対応が必要となります。

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荒川 大

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企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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