喫茶室ルノアールにあって、スターバックスにないもの。

画像: Junpei Abe

2009.05.30

営業・マーケティング

喫茶室ルノアールにあって、スターバックスにないもの。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

何年ぶりだろう・・・先日、東京出張の際に、新宿西口の喫茶室「ルノアール」を利用させてもらった。打ち合わせまでの時間潰しで入っただけなのだが、何故か、すごく落ち着いた。 スターバックスの成長が鈍化する中で、おなじみ喫茶室ルノアールに、、、伸びしろがある気がした。

そこだ、、、そこが、ミソなのだ。
何故、「喫茶店」ではなく、ルノアールは、わざわざ「喫茶室」と明記しているのか。喫茶室ルノアール情報を中心に都内で働くビジネスマンを応援するサイトには、こんなことが堂々と書かれている。
「平日は商談・休憩・お昼寝のために利用し、土日は読書のためにルノアールに立ち寄る。そんなルノアールが生活に欠かせないビジネスマンを応援いたします。ルノアールは喫茶店ではなくあくまで喫茶室ですので、コーヒーを飲みに行くのではなく、あくまで何かを行う、それが営業中のお昼寝であったとしても、場所・スペースを求めるあらゆるビジネスマンの味方です。」と。

だから、よーく見渡してみると・・・
書類に目を通す人。
本を読む人。
商談(らしき会話)をする人。
互いに立って名刺交換している人。
ちゃんと整えられた電源を利用して仕事を黙々とこなすヒト。
いびきをかく勢いで大胆に眠りこける人。
ただひたすらタバコを吸う人。
ほんと、自由自在だ・・・。
コーヒーを飲みに来ているのではなく、「何かをしに来ている」のだ。「喫茶店」ではなく「喫茶室」としての面目躍如である。
喫茶室「ルノアール」は、コーヒーを消費しにいく場所ではなく、何かをしにいく=生産の場所であり、目的の場所なのだ。だから、目的の内容は違えど、「目的を達成しに来る」という同志である空気感が、店舗内にある。やっていることは、バラバラなのだが、「自分の居場所」を共有している連帯感がある。隣でせっせと仕事をするおっさんを、私は、実際には、知らないが・・・なんとなく知っている人であるような気がするし、私自身が、そう見られている気もする。

「顔見知り」&「馴染み」感とでも言うのだろうか・・・・。喫茶室「ルノアール」の目指す「くつろぎ」「安心」の根底とは、そういうものではないだろうか。その「顔見知り」「馴染み」感があるが故に、実に、街との相性が良い。その街のルールに、その街の生業に、ひしっとはまっている。だから、喫茶室「ルノアール」は、街の風景として記憶に残る。

それと比較して・・・スターバックスは、どうだろう。
ルノアールと同じように、職場とも家庭とも違う安心して集うことのできる「第三の場所(サードプレイス)」を求める人々の欲求を満たしたところに成功の秘訣があると言われている。しかし、それは、ルノアールとは、異質のものだ。

互いに、職場とも家庭とも違う、非日常のプレイスであることは間違いない。しかし、スタバは、何かと何かの、時間の合間のプレイスである。目的ではなく、日常生活の中継拠点としてのプレイスである。目的の場所ではなく、機能優先の場所である。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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