なぜ、名古屋人は「なんでも鑑定団」がお気に入りなのか?

2009.04.01

営業・マーケティング

なぜ、名古屋人は「なんでも鑑定団」がお気に入りなのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

テレビ東京系の長寿番組といえば「開運なんでも鑑定団」。1994年4月が第1回放送なので、今月でちょうど15年目になる長寿番組。その上、安定的に高視聴率を稼ぐ国民的番組なのである。

「開運なんでも鑑定団」は、どの地域でも視聴率は高いのだが、愛知県は特に高いという傾向があるらしい。関東地区に比べると、常に2-3ポイント上回る事が多い。逆に愛知県だけ低かったのが、「男はつらいよ」映画だというのだ。

どうして「開運なんでも鑑定団」は、長寿なのか?
そして名古屋人好みなのか?考えてみたい。

長寿番組の理由①

低予算&ハイパフォーマンス。


島田紳助の司会のギャラ以外に、お金がかかっていないと思われる。「出張鑑定団」というコーナーがあるが、その出演者の募集は、地方の各自治体が競って誘致を行っているようなので、お金がかからない構造になっている。さらに、スタジオ撮りも、鑑定士のギャラくらいのもので大したことない。素人さんをフルに活用できる仕組みは、この時勢にも、サバイバル出来るコストパフォーマンス抜群の番組である。

長寿番組の理由②

素人さんの自意識満開。


日曜日のお昼時にやっているNHKの素人参加番組「のど自慢」も、時折、凄い光景を目にするが・・・。「開運なんでも鑑定団」も、然り。「お宝」にまつわる個人の物語と、一方的に高い内部評価を、「お金」という指標で発表させるところがうまい。「歌」という評価のしにくい指標ではなく、素人さんが「●●●万円」と、正々堂々と宣言できる番組は、珍しい。視聴者が、共通に持ってるはずの自意識なのだが、そのヒト個人ではなく、「お宝」を通しているので嫌味にならない。

長寿番組の理由③

他人の不幸は、蜜の味。


番組の見所は、鑑定結果の発表の瞬間である。ある者は意気揚々に「1000万」と予想してみせるが、実際の評価が「1万」だったりする。不当に高い素人の自己評価に、ケチが正確についたりするところが醍醐味である。「自己評価」が「正当な評価」より高いほど、その参加している素人さんは、エンターティナーとなるわけだ。
「他人の不幸は、蜜の味」という残酷なテーマを、これほど、ほのぼの描き出せていることが凄い。

テレビ愛知の代表取締役社長・佐藤 富雄氏が、愛知県経営者協会のサイトで、名古屋人のテレビ番組視聴の傾向を掲載されている。
そこには・・・
『名古屋の人はおまけが好きで、何か得するもの、お値打ちかどうかに非常に興味を示す。それが物の価値が上がったり下がったりする鑑定評価が売り物の「鑑定団」人気につながっている。価格に対する厳しい目を持っているともいえる。もちろん信長、秀吉、家康の三英傑を輩出した土地柄であり、先祖代々のお宝が多いのも理由のひとつだろう』

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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